日本の情報戦が頼りない

気落ち悪いなぁ。「週刊文春」の記事を発端にして始まった甘利センセイ
の閣僚辞任劇で、何故か甘利センセイが「被害者」みたいな論調が多い。

しかも閣僚辞任が「潔い」って何だよ。議員辞職じゃないんだぞ。なんで
こうも自民党の思惑に嵌っている人が多いんだかなぁ。

何度でも言います。「はめられた」のは現金を受け取ったからです。返そう
と思っても相手が拒否したとはご本人の弁だが、拒否されようが返して
おけばよかったんじゃないでしょうかね。

「50万円の受け取りについて、『記憶を整理したい』と述べておられます。
それは50万円を受け取った記憶はあるが、それを正当化する整理がつか
ないということですか」

これは先日の国会での共産党・志位委員長の発言。いいところを突いてる
よね。最近の志位委員長の発言は冴えているわ。

正当化しての記者会見があれだもんな。とことん追求して欲しいわ。

『インテリジェンス 武器なき戦争』(手嶋龍一/佐藤優 幻冬舎新書
読了。

NHKKの元ワシントン支局長の手嶋龍一氏と、鈴木宗男事件に絡んで
逮捕され外務省を退職した元外交官・佐藤優氏の対談をまとめた書。

このふたりの対談なら勿論、テーマは「インテリジェンス」。インテリジェンス
と言えば、即、スパイと頭に浮かんでしまうのだがスパイ合戦ではなく、
外交における情報戦を語っている。

手嶋氏は報道の現場で、佐藤氏は外交官として。それぞれに最前線で
日本を取り巻く国々の情報戦を体験して来たことがベースになっている
のでインテリジェンス入門としても分かりやすい。

特に佐藤氏が外務省での体験や先輩外交官の功罪を語っている部分が
面白いわ。これは外務省を離れているから語れることなのだろうけれど。

小泉政権時代の「平壌宣言」なんて糞味噌だったわ。北朝鮮との間での
拉致被害者問題が何故、現在でも解決されないかの原因がこの宣言に
あるような気がして来たわ。

本書は2007年の発行なのでお二方は安倍政権にかなり期待していたよう
だ。対談のなかでも日本版NSCの必要性も語られているのだが、実際の
稼働はどうなんだろうね。

ISによる邦人拘束事件で現地対策本部をヨルダンに置いたってだけで、
やっぱり現在の日本は嬢情報戦にはからっきし弱いんじゃないかと
思っているんだが…。

でも、以前は日本にも優れた外交官がいたとの佐藤氏の話はよかった
な。何故、それが現在でも維持できななかったのか。政治家と一緒で、
外交官も人材不足なんだろうか。それとも育成が出来てないんだろうか。

新書だし、ふたりが繰り出すエピソードはそれぞれに興味深くて面白い
のだが、全編通してお互いに「よいしょ」しあっているのが少々気持ち
悪かったわ。