妖怪の世界へ

ご自身が描かれている妖怪のように、ずっとずっと生きていてくれる
のじゃないか。そんな印象が強かったんだが…。

漫画家・水木しげる氏が亡くなった。享年93。お歳を考えたら旅立たれて
も不思議じゃないんだが、なんだかね。寂しいわ。

漫画よりもアニメの「ゲゲゲの鬼太郎」に親しんだ世代だ。その後、原作で
ある漫画も読んだし、戦争体験を綴った作品も読んだ。そして何よりも
魅力的だったのは水木氏ご本人だった。

ひょうひょうとして、どこかとぼけた感じが大好きだったし、ご自身の戦争
体験を淡々と語る。熱くなることのない口調だっただけに、戦争の悲惨さ
が伝わって来た。

戦争を語れる人が、またひとり旅立ってしまった。それでも水木氏の作品
は読み継がれるだろうし、鬼太郎をはじめとした妖怪たちは世代を超えて
愛されるだろう。

水木さん、妖怪の世界へ旅立ったのかな。ご冥福を祈る。合掌。

『ドキュメント 豪雨災害 ──そのとき人は何を見るのか』(稲泉連
 岩波新書)を読み始める。

東日本大震災が起きた2011年。同じ年の秋に発生した大規模な豪雨
災害は紀伊半島を襲った。奈良県十津川村和歌山県那智勝浦町
の現場を取材したノンフィクション。