失われた歳月

20年前、小学6年生の女の子が死亡した火災。殺人などの罪で
無期懲役が確定していた女性と、内縁関係にあった男性の再審
の開始に伴ってそれぞれが刑の執行停止が認められ釈放された。

長いよね、20年。女性の子供であり、当時9歳だった男の子は
29歳になっているのだもの。

このニュースを見ていて驚いた。「容疑者は追い詰められたら
邪心をなくして真っ白になり、本当のことを話す」と言っている
検察官がいるそうだ。

どこのどいつだ…ブツブツ。とことんまで追い詰めたら、その苦しさ・
辛さから逃れようと嘘だって自白するだろう。私だったらするわ。
裁判で「やってません」とは言うけどね。

自白に重きを置いた捜査の一番の弱点じゃないのか。そうやって
今までどれだけの冤罪を作って来たんだよ。

先日、収監されたまま亡くなった名張毒ぶどう酒事件の奥西勝さん
だってそうだったろう。

検察も少々考えを変えた方がいいじゃないか。また冤罪を作るよ。
失われた歳月は誰も元に戻すことが出来ないのだから。

『戦火のマエストロ 近衛秀麿』(菅野冬樹 NHK出版)を読み
始める。

先の大戦時、ナチス政権下のドイツをはじめ、ヨーロッパでタクトを
振った指揮者・近衛秀麿。生前、多くを語らなかったユダヤ人演奏者
の救出等、戦火の欧州で生き抜いた秀麿の足跡を追ったテレビ番組
の書籍化である。

異母兄である近衛文麿を扱った作品は何冊か読んだが、弟・秀麿の
ことは音楽家であったってことしか知らなかったわ。