覆面作家という話題性だけか

既に今年は日本人2人がノーベル賞を受賞した。生理学・医学賞を
受賞した大村智さんの会見が素敵だったよ。

会見冒頭、日本国首相・安倍晋三から電話。大村さん「あとでかける」。
これで笑ったとおもったら、再入電。

大村さんが電話に出たら、安倍都合で待たされる。そうしたら、記者たち
に向かって「Time is money」と言って会見続行だったよ。

嫌いなのかな?安倍晋三

さて、今晩はノーベル文学賞の発表である。そろそろ村上春樹にあげて
くれないだろうか、ノーベル財団

いや、村上春樹が好きなんじゃないんだ。毎年、この時期に注目される
熱狂的ファン・ハルキストが気持ち悪いの。いつだったか「他の候補者の
作品を読んで、村上春樹の良さを再確認する」とか失礼なことを言って
いたのだもの。

さぁ、どうなるでしょう。

原発ホワイトアウト』(若杉冽 講談社文庫)読了。

百田尚樹『永遠の0』も、孫崎亨『戦後史の正体』も、話題になった時期を
かなり過ぎてから読んだ。

本書が話題になったのは2013年。既に2年も前の作品である。それを今頃
読んだ。

例えば年越しそばを年明けに食べるという「ずれて食う」なんての知人が
をやっているが、私のはさしずめ「ずれて読む」か。

著者は現役のキャリア官僚。分かっているのはそれだけ。いわゆる覆面
作家である。あれだけ話題になったのだから、どんな凄いことが書かれて
いるんだろうと思って期待した。

期待したほどじゃなかった。肩透かしと言うか、がっかりだった。あれだな、
「現役キャリア官僚が政官財の癒着を描くよ〜」ってのだけが売りだった。

フィクションとノンフィクションの部分が混在しているので、ノンフィクション
部分が私にとっては非常に邪魔だった。

だって、本書で登場する「新崎県、伊豆田知事」って新潟県の泉田知事
だよね。脱原発の俳優で参議院の「山下次郎」は、ひとり牛歩作戦の
山本太郎だもん。

私の脳内は勝手に実在の人物名に変換してくれていた。なので、告発
小説というよりニュースのおさらいって感じだった。

原発ホワイトアウト』というタイトルだけど、ストーリーのほとんどは官僚
や電力会社、政治家の裏工作ばっかり。陰謀論と受け取れないことも
ないな。

政官財の癒着については古賀茂明氏が官僚時代に著した『日本中枢の
崩壊』を読んでおけばいいし、本書の伊豆田知事が見舞われる贈収賄
事件は元福島県知事だった佐藤栄久作氏の『知事抹殺』そのまんま。

なんで告発小説を書こうと思ったのかな。小説にしても中途半端なんだ
よね。北朝鮮工作員によるテロはちょっと唐突な気がするし、終わり方
も消化不良。

それに福島を常に「フクシマ」とカタカナ表記しているのがとっても気に
なった。

印税の一部が福島県の子供たちの為に使われるってことで文庫版を
購入したが、「告発」ってほどにはインパクトがなかった。残念。

同じ告発ならやっぱり古賀氏の方がインパクトがあったな。