心のケアを置きダリにしていないか

快挙だ!ラグビー・ワールドカップの初戦で、日本が優勝候補である
南アフリカに勝っちゃったよ。

南アフリカは世界ランク3位。対する日本は世界ランク13位である。
いや〜、ノーサイド直前のトライの素晴らしかったこと。

大会はまだこれからだけれど、私はこの1勝で十分に嬉しいわ。

出生前診断 出産ジャーナリストが見つめた現状と未来』(河合
蘭 朝日新書)読了。

技術の進歩は目覚ましい。なかでも生殖医療の進化のスピードは
目を見張るほどだ。

生まれて来るまで赤ちゃんの状態が分からないなんてのは、もう遥か
昔の話になりつつある。出産前に性別どころか胎児が抱えているで
あろう疾患までもが分かってしまう。

命の選別につながるのではないかと視点で語られることの多い出生
前診断を、その歴史から実際の検査方法、各診断にどんな議論が
あったのかを、門外漢にも分かりやすく記している。

女性の視点で書かれているので、実際に出生前診断を受けて、
迷い、苦悩し、決断をした女性たちへのインタビューをまとめた
箇所は妊娠・出産という大きな不安と期待に揺れる心に寄り
添うように、著者の思いやりが感じ取れる。

出生前診断でよく問題に上がるのがダウン症候群を持った子供の
生まれる確率だろう。確かに陽性と診断され、人工妊娠中絶をして
いる人もいるだろう。本書でも「陽性と診断されていたらどうしていた
か?」との著者の問いに「夫婦ふたりでの生活を選ぶ」と答えている
人もいる。

だが、それは一部の人であってメディアはその一部がすべてのように
報道していやしないか。

問題は出生前診断の善悪ではなく、診断後に妊婦さんの心の
ケアと生まれて来る赤ちゃんの治療方法なのではないだろうか。

日本ではその問題がクリアになる前に診断だけが広まってしまって
いるんだね。本書で紹介されているドイツの例では、妊婦さんの
相談に乗る機関が整備されているようなのだもの。

晩婚化が進み、初産の平均年齢も高くなっている日本の現状を
考えればドイツのように妊婦さんが出産に備えて不安を軽減
出来る機関が必要になると思う。日本でも僅かにそういった窓口
があるようだが、絶対数が足りないんじゃないのかな。

医学はこれからも進歩するだろう。そのうち、疾患を抱えた胎児を
母胎内で治療できる技術も進むだろう。

その時、妊婦さんやそのパートナーだけが悩みは不安を抱えるの
ではなく、心のケアも出来る制度として確立していると理想的だね。