この国は国民を見殺しにする

昨夜は国会前にいた。市民がデモをしているのか、警察官がデモを
しているか。間違えそうになるほど警察官がいた。警視庁総出か?

機動隊車両もびっしりと並んでいた。あぁ、税金の無駄遣いだぜ…
と思いながらデモに参加。

しかし、1日遅れで強行採決だよ。なんだ、あれ?何も聞こえなかった
んですけど〜。

参議院は官邸の下請けではない」と言っていたはずだよな、鴻池
委員長は。この発言撤回して、「私は総理の下請けです」って断言
しとけよ。けっ!

『検証「イスラム国」人質事件』(朝日新聞取材班 岩波書店)読了。

始まりは2014年8月の湯川遥菜さんの拘束事件だった。続いて
フリージャーナリストの後藤健二さんがイスラム国に拘束された。

年が明けて2015年1月、日本国首相・安倍晋三の中東訪問中に
イスラム国は拘束した二人の日本の身代金を要求する動画を
公開した。

多くの人が成り行きを見守った事件は、ふたりの殺害という最悪の
結果で幕を閉じた。

本書は朝日新聞に掲載された検証記事に加筆して書籍化した作品
なのだが、「検証」と冠した割には中途半端と言うか、腰が引けている
感じなんだよな。

吉田調書とか慰安婦報道とか、いろいろと立て続けにあったから
かしらね。朝日新聞の名を失念するほどに、甘々だよ。

湯川さんがシリアへ渡航するところから、事件後の有識者による
検証委員会の報告まで。時系列で追うにはいいんだけどね。

記者による検証部分が「政府も頑張っていたんですよ」みたいな
トーンになっているのを補う為か。対テロ・資金洗浄問題コンサル
タントのロレッタ・ナポリオーニ氏と現代イスラム研究センター
理事長の宮田律氏のインタビューを通して政府批判をしている。
ちょっとずるいかな。

この事件を振り返る為に本書を読んだのだが、思うに日本政府は
端からふたりを助ける気なんてなかったんだと思う。だって、外務省
は後藤さんに対して「渡航をあきらめるよう説得したが、聞き入れて
もらえなかった」と強調しているのだもの。

それに事件が明らかになった時と、ふたりの殺害後の安倍の勇ましい
が中身空っぽの声明。あらゆる可能性を探っていたと言うのであれば、
イスラム国にパイプのあった中田考氏や常岡浩介氏がいたでは
ないか。

そもそも湯川さんが拘束された時点でイスラム国だと分かっていた
はずなのに、動画が公開されるまでふたりを拘束した組織が分からな
かったって言い訳はなんだ?

ヨルダンに現地対策本部を置いたのは、ヨルダン情報部がアメリカの
CIAと緊密な関係があるからだろう。過去の人質解放の実績を考慮
したら、頼るべきはヨルダンではなくトルコであったはずだ。

「いろいろやってるんですよ」とポーズを見せただけで、実質、なんの
情報も得られていなかったのだろうな。まぁ、「どんな情報収集活動
をしてきたのか」と政府に問うても、「それは特定秘密です」って逃げる
んだろうけれど。

もし、テロ組織といわれる集団にこうそくされたのが企業の海外駐在員
や外交官だったら、違った結果になったんじゃないのかね?安倍晋三

日本政府に見殺しにされた、湯川さんと後藤さんのご冥福を祈る。