人間が、人間を奪った記憶

「実はパスワードの設定をしてませんでした」って…。阿呆かぁっ、
日本年金機構

そりゃ個人情報盗み放題ってか「どうぞ、盗んでください」ってことじゃ
ないのか。

個人情報流出後の費用は税金や年金から出すって安倍晋三が言って
いたけど、こんな杜撰なことをやっていた年金機構や監督官庁の人たち
が全員、自腹を切ってくれないかね。

ヒロシマは昔話か 原水爆の写真と記憶』(庄野直美:編著 新潮文庫
読了。

数年前、NHKで原爆被爆者を取り上げたドキュメンタリー番組を観た。
確か広島の男性だったと思う。

所持している被爆者手帳には、それと分からぬよう手製の白い表紙が
付けられていた。被爆者であることで医療費が免除されることに対して
のやっかみがあるからだと言う。

無性に哀しかった。何故、被爆して苦しむ人が周囲に気を遣って生活
しなくてはいけないのか。何故、原爆症を背負わされた人に羨みの視線
を向ける人がいるのか…と。

戦争にかこつけて、アメリカは原子爆弾投下という壮大で凄惨な人体
実験を、広島と長崎で行った。本書は両市への原爆投下直後の写真
と体験談で構成されている。

映像媒体にしても、紙媒体にしても、日本のメディアは遺体の映像や
写真を掲載することはほとんどない。だが、本書にはそれがある。

正直、きつい。目を背けたくなるほどだが、これが現実に起きたことで
ある。だから、見て、覚えておかなくてはいけない。

炭化したご遺体の写真が多くある。解説がなければ男性なのか、女性
なのかも分からぬ写真だ。だが、性別は分からなくとも分かることがある。
そこには大人だけではなく、子供がいて、赤ん坊がいた。

劣悪な環境で熱傷や火傷の治療を受ける人々がいる。病院も救護所も
勿論、破壊されている。十分な医薬品もなく、苦しみながら死を迎える
人のなんと多かったことか。

人間が人間に対して行った愚かな行為の結果がここに集約されている。

被爆者手帳を持つ人たちの平均年齢が80歳を超えたとの報道があった
のは、つい先日だった。現実の「地獄」を知る人々が、徐々に減っている。

それでも忘れてはならぬ。風化させてはならぬ。原子爆弾と言う、人間
が作り出し、人間を奪った愚かすぎる歴史を。

広島も、長崎も、昔話ではない。唯一の被爆国である日本人が、未来
永劫に渡って語り継いでいかねばならなない、人類の負の遺産だ。