子供たちはどこへ消えた

安定の筆頭宮家、秋篠宮両殿下が銀婚式をお迎えになった。
婚約時代、可愛らしいお嬢様だった紀子ちゃんも25年の歳月を
経て、落ち着いた妃殿下になられた。

今でも仲好さそうなおふたり。金婚式も仲睦まじいお姿を拝見
したいわ。

『ルポ 居所不明児童 消えた子どもたち』(石川結貴 ちくま新書
読了。

383人。2014年の居所不明児童の人数である。1961年から2014年
までの累計では約24,000人になる。

神奈川県厚木市で白骨化した男児の遺体が発見された事件が
あった。両親は離婚し、父親が男児を引き取ったが週に数回、
コンビニの弁当やパンを置いて来るだけで、育児を放棄した。

男児が発見されるまで8年。その間のどこかで救いの手を差し伸べる
機会はなかったのか。

この事件は勿論、本書ではかなり衝撃的なケースを取り上げている。
詠めば「ああ、あの事件か」と思い出すものばかりだ。

地域から、学校から、忽然と姿を消した子供たちがいる。そんな子供
たちが発見されるのは既に死に至ってからというケースのなんと多い
ことか。

何故、子供たちを救えなかったのか。一番の問題点は親であろう。
子供を育てるということがどういうことなのか分からない親たち。
貧困の中で「助けて欲しい」との声を上げられない親たち。そして、
「命」への無関心。

例え行政が子供の不安定な生活を把握していても、情報共有が
旧態依然としている現状では居住地域を離れてしまえば追跡調査
が出来ないという。今時、不明児童のデータがFAXってなんだよ。

実際に起こったいくつかの不明児童のケースを追い、教師、社会
福祉士、児童相談所への取材を行っている。

誰が、どこまで踏み込むか。線引きは難しいのだと思う。でも、救えた
かもしれない命は確かにあった。

この世に誕生したのは確かなのに、どこにいるのか分からない子供
たち。出生届さえ出されていない子供を統計に加えたら、実際の居所
不明児童の人数はもっと増えるのだろうな。

社会から零れ落ちてしまう子供をなくすことを、もっと真剣に考えない
といけないんじゃないか。