戦後70年経っても日本は敵国だった

「沖縄の新聞2紙は潰さないといけない」

大ベストセラー作家の百田尚樹センセイが自民党若手議員の
勉強会で第暴走である。

「沖縄は本当に被害者なのか」「沖縄に住む米兵より沖縄県自身の
レイプ犯の方が多い」

こんなことまで言ったとか。いいお友達を持ったものだね、安倍晋三は。
一応、作家なんでしょう。表現することを商売にしているのでしょう。

そんな人が「新聞を潰せ」だってよ。自分が筆を折ってから言えよ。
ノンフィクションの手法も無視して「殉愛ノンフィクション」なんて銘打って
ないでさ。

その勉強会。自民党の若手議員も相当にいかれた発言をしてるね。
経団連を使ってマスコミに圧力をかける」って何だ?言論統制
するって理解でいいのかしらね。

安全保障法案に対する国民の理解が進まないなんて言ってたが、
国民は理解してますよ。「平和」とか「安全」とか口当たりのいい言葉を
冠していても、それが戦争法案だってことをね。

お〜い、マスコミ。こんなことを平気で言える議員の実名を晒せよ。
自民党若手議員はネトウヨかよ。ったく。おつむの程度が知れるわ。

『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(矢部宏治
 集英社インターナショナル)読了。

『戦後史の正体』『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」
『検証・法治国家崩壊』』の、創元社の「<戦後再発見>双書」を
手掛けた編集者が本書の著者である。

第一弾だった『戦後史の正体』はがっかりだったが、あとの2冊は
非常に興味深く読んだし、勉強にもなった。

なので、本書にも期待した。だって、タイトルに「基地」と「原発」が
入っているのだもの。私の期待はいい方に裏切られた。

現政権が在日米軍基地と原子力発電所をどう考えているのかの
分析かと思ったのだ。そうではなかった。これは日本国憲法
成り立ちと、その問題点を戦後70年の経緯から解説・分析した
書だった。

『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』を読んでいたので、
在日米軍基地の問題は割に分かりやすかった。それにしてもだ。
アメリカ国内では住民の生活環境や自然環境に配慮して、低空
飛行訓練が禁止されている地域があるって言うのに、日本国内は
どこでもOKってなんだよ。

あ、一部、禁止区域があったわ。沖縄の在日米軍の住宅地上空。
お〜いっ、日本人の住宅上空なら墜落の危険性は無視していい
のかよっ。

建前上、日本にアメリカ軍が駐留しているのは東アジアの平和と
秩序維持の為…なんだが、実は日本がまかり間違って再武装した
時の抑止力でもあるって話に目からうろこが落ちる思いだったわ。
危うくコンタクトレンズを落とすくらいに。

万が一、日本がアメリカに刃向ったらひとたまりもなく制圧される
のだろうな。常に共同訓練をやっている自衛隊の能力だって全部
把握しているんだろうし。

そして、もうひとつの驚愕の事実。国連憲章では日本は未だに
「敵国」であるということ。この「敵国」にはドイツも含まれていたの
だが、英米の影響を受けることの少ないフランスの法学者の説
だと、既にドイツは「敵国」から除外されているそうだ。

それは、先の大戦後に日本とドイツが自国の犯した過ちにどのよう
に対処して来たかの違いだそうだ。

ホロコーストの碑の前で跪いた首相がいたドイツ。歴史と向き合う
ことを説いた大統領のいたドイツ。では、我が日本は…ってこと
なんだなぁ。

もうひとつおまけ。実はアメリカは日本からの完全撤退を考えていた
ということ。発案はアメリ国務省。でも、軍部に押し切られちゃった。
あれ?湾岸戦争イラク戦争国務省vs国防総省だったよな。

アメリカ内部も先の大戦後から国内の対立構造が変わってないのか。

民主党の鳩山政権を持ち上げている部分は気に入らないが、全体と
してよくまとまっている。あとはタイトルに「原発」と入っているのだから、
もう少し原発関連の記述があってもよかったんじゃないかな。

自民党憲法改正案なんてのを作っていたな。権力者がこんなもんを
考えること自体おかしいじゃないか・・・と感じた人なら読んで欲しい。