そもそも公正な裁判だと言えるのか

ロヒンギャ族の支援に4億円ねぇ。まぁ、有意義に使われるのなら
いいけどさ。

お金を出すのもいいけれど、まずは日本にいるロヒンギャの方たち
難民認定するのが先じゃないの?岸田外相。

『検証・法治国家崩壊 砂川裁判と日米密約交渉』(吉田敏浩/新原 昭治/
末浪靖司 創元社)読了。

集団的自衛権は合憲であると言い張る安倍政権が引き合いに出すのが
砂川裁判の最高裁判決なんだが、砂川裁判って集団的自衛権について
は判断してないんじゃないの?これって、個別的自衛権の問題なんじゃ
ないのか?

砂川裁判の判決を曲解していると指摘している学者もいるようだが、
「自分たちのやりたいようにやる」と、批判の声には一切耳を貸さない
安倍政権には届かないようだ。

さて、その砂川裁判最高裁判決でる。そもそもの事件は1957年7月8日に
発生した。在日米軍立川基地の滑走路延長計画に反対した地元住民や
学生、労組が強制測量を阻止する為にデモを行った。

その際に基地内に立ち入った7人が起訴された。東京地裁行われた裁判
では伊達裁判長が「アメリカ軍の日本駐留は違憲」との見解を示し、全員
無罪の判決を出した。

これに慌てたのが日本政府とアメリカ政府。日米安保条約改定を成し遂げ
たい時の岸政権は、当然のようにアメリカの顔色を伺う。その日本政府に
送られたアメリカ側のアドバイスが「跳躍上告」だった。

高裁をすっ飛ばし、最高裁への上告である。その最高裁判決が「アメリ
軍の駐留は合憲」。よって、原判決は破棄され、地裁に差し戻された。
その差戻審では当然のように有罪判決が出る。罰金2000円也。

しかし、砂川裁判最高裁判決には裏があった。2008年、機密解除された
アメリカの公文書のなかなから、事件当時の駐日アメリカ大使と最高裁
長官との密談が明らかになった。

本書は公開された機密文書と裁判の流れを追いながら、砂川裁判最高裁
判決が日米密約の下で生まれた過程を綿密に追っている。

沖縄返還密約してもこの砂川裁判にしても、アメリカで公文書が見つかって
も日本の外務省は「そんなものありませよ」って姿勢なんだよな。情報公開
法も整備されてないのに特定秘密保護法が施行された現在、これまで以上
に政府機関からの情報は出て来ないなんだろうな。

しきりに砂川裁判最高裁判決を持ち出して集団的自衛権を合憲としたい
安倍政権。最高裁長官がアメリカと密談して下した判決が公正・公平な
裁判であったとは言えない。そんな判決に正義を求めること自体に疑問
を抱かないのかね。

日本国憲法の上位に位置する法律は存在してはいけない。だが、現実
には日米安全保障条約日米地位協定のように、アメリカを利する為
には憲法だってないがしろだ。

だからって、時の政府が憲法を自分たちの都合のいいように解釈して
いいってことにはならないと思うんだけどね。

安倍政権が成立させようとしている戦争法案に疑問を持っている人に
読んで欲しい良書だ。