犯罪捜査200年のダイジェスト

年50億円。年金機構からの個人情報漏えいの後始末に関する
費用だそうだ。

問い合わせ窓口のオペレーターの人件費やら、お詫び文書送付の
費用やらの合算だそうだ。

これ、税金で賄うんですよね塩崎厚労相。情報漏えいの不安に晒され、
詐欺被害の危険に直面させられ、その上に税金を無駄遣いされる
国民の身になってくださいな。

『世界が驚いた科学捜査事件簿』 (ナイジェル・マクレリー 河出書房 新社)
読了。

ミステリー小説や刑事ドラマでお馴染みの鑑識捜査。「警察24時」みたい
な実録番組などでも交通事故の鑑識作業がよく取り上げられる。

被害者や犯人の身元確認、銃犯罪の捜査に大きな進歩をもたらした
弾道学、血液の分析等々。犯罪捜査と科学の進歩は切り離せない。

本書は7章で構成される科学捜査の進歩を、実際の起こった事件を
モデルケースにしながら紹介している。

それぞれの科学捜査の進歩も興味深いが、判定方法が確定するまで
の捜査方法が怖いわ。

被害者が亡くなった部屋に監禁して亡霊に脅えたら犯人っ!てなんだ?
まるで中世の魔女裁判のようじゃないか。手足を縛って川に放り込んで
沈んだら魔女じゃないってのがあったな。それ、死んじゃってますから。

今でこそ極めて精度が高くなったDNA鑑定だけれど、齟齬があったのは
日本の足利事件を例に取るまでもないだろう。

不安定だった判定方法が用いられて冤罪の末に死刑になった人だって
いたはず。

科学万能の時代かもしれない。だが、怖さもある。あらゆるところに設置
された監視カメラ。そこから犯人と思われる人物の行動を追って、実際に
逮捕までに至った事件があった。

これを犯罪抑止力と思うのか、監視社会への序章と見るのか。既に監視
カメラの映像から特定の人物の顔を特定して割り出す技術が進んでいる。
この技術がどんどん進歩すると、誰が・いつ・どこにいたがすべて分かって
しまうんだよな。

わたしゃ怖いわぁ。

尚、本書には参考文献が一切掲載されていないのが物足りない。DNAの
章なんてロシア・ロマノフ朝最後の皇帝一家の遺体のDNA鑑定を取り上げ
ているんだから、その参考文献が知りたかった。