じゃあ、どうすりゃいいのさ

首相も、官房長官も、外務大臣も、外務副大臣も、壊れた
テープレコーダーのように同じような言葉を繰り返して
ばっかり。

「しっかりと」とか、「緊張感を持って」とか、いい加減に
聞き飽きた。

実際、どんな動きをしてるんだ?邦人拘束事件に対して。
まさか、ヨルダン政府が動いてくれるのをじっと待ってる
だけ?それが「情報の収集と分析」?

『首都水没』(土屋信行 文春新書)読了。

歩道橋はまるで滝のよう。マンホールからは噴水のように
水が吹き上がり、住宅街の路地にはにわかに川が出現する。
近年のゲリラ豪雨や台風の際に見られる都市での洪水の
風景だ。

東京は雪に弱いと言われるけれど、それは雪が消えたら
自然と解消する。だが、水害はどうだ?水浸しになった
家屋は再建するのに時間がかかる。堤防が決壊でもすれば、
修復作業には多くの労力と時間を要するだろう。

本書は東京都の職員として主にまちづくりの仕事に携わって
来た著者が、江戸時代からの水害を引きながら、自然災害に
対する首都機能の脆さを指摘している。

歴史をさかのぼって河川の付け替えや放水路の開削がどの
ように行われたか。過去の水害でどれほどの被害があったの
か等は勉強になった。

また、祖先たちが自然災害に対して残した言葉に多くの
警告が含まれていることは、改めて考える必要があると
思う。

だが、その先人の言葉を無視して本来なら人が居住するに
適さない場所だったところにも現在は家屋が密集している
と指摘するのはどうなんだろう。

明治時代と現在では人口が違うと思うんだよね。しかも、
東京都は今でも湾岸エリアの開発が進み、高層マンションが
ぼこぼこ建っている。しかも売れているらしい。お高いんで
しょうに、お金があるとことにはあるのね。あ、これは
貧乏人のひがみですけど。

東日本大震災以降、富士山が噴火したらとか、南海トラフ
地震が起きたらとか、首都直下型地震が起きたらとか、
シミュレーションをして恐怖を煽るようなテレビ番組が
多く放送された。

では、どうしたらいいのか。その具体策ってないんだよね。
「こんな大変なことになりますよ。だから備えておきましょう」
といわれても、精々防災グッズを揃えるくらい。あとはハザード
マップのチェックかな。

本書もそうなんだよな。結局、頑丈な堤防を作りましょうって
ところへ落ち着いちゃう。それって、個人ではどうにもならない
ことだよね。自治体の問題。スーパー堤防は無駄って言っていた
のは民主党政権時代の事業仕分けだっけ。

江戸はその昔、多くの川が流れる水の都だった。それでも何回
もの水害に苦しめられた。その川を、都市開発の為に暗渠にし、
水を吸収して行くれるはずの土の道をアスファルトで固めた。

これはもう、どうにもならないんじゃないかな。せめて早い
時間に安全な場所に避難するのがせいぜいだろう。だって、
著者が都の職員時代、実際にどんな水害対策を考えたまち
づくりをしたのかなんて記されていないんだもの。

ちょっとおまけ。昔、江戸川区新川周辺は果樹園が多くあった
そうだ。名産は「新川梨」。ところが大正6年の水害で畑は
壊滅状態。この時、多くの農家が水害の被害を受けない高台
の地を求めて千葉県へ移転したのがきっかけで、船橋等が
梨の産地になったとか。

知ってた?ふなっしー??