途轍もない喪失感

訃報を聞いたのは昼休みだった。「ああ、死んでしまったのか」。
最初は漠然と思った。

だが、時間が経つごとに「亡くなった」という事実が少しずつ
大きくなっていった。

映画俳優・高倉健さんが亡くなった。享年83。悪性リンパ腫
入院中の、容態の急変だったという。

美空ひばりが、石原裕次郎が亡くなった時、「昭和が終わった」と
思った。

松田優作が亡くなった時、あまりの衝撃の大きさにしばらく
立ち直れなかった。弔辞を読んだ原田芳雄じゃないが、「生き
返って来いっ!優作」と心が叫んだ。

健さんの訃報は、そのどれとも違った。確かに衝撃ではあった。
でも、それはじわじわと広がった感じだ。そして、ぽっかりと
空洞が出来た。

例えようもない、途轍もない喪失感が、今、ある。

多くの俳優がスクリーンからテレビへと移行し、ドラマから
バラエティへと進出するなか、ずっと、ずっと、映画俳優で
あった健さん

そして、旅立つまでずっと「高倉健」だった健さん。いくつもの
素敵な映画を有難う。出来うることなら、1本でも多く映画を
残して欲しかった。

でも、もう十分だったのかな。だから、旅立って行ったのかな。
どうぞ安らかにお眠りください。ご冥福を祈る。合掌。

おまけ。
安倍晋三の戯言を垂れ流すより、今日は健さん特番だろうがぁ。
テレビのおばかぁぁぁぁぁ。(ノД`)・゜・。

『目標が撃墜された 大韓航空機事件の真実』(セイモア・M・
ハーシュ 文藝春秋)を読み始める。

1983年9月1日早朝。韓国の大韓航空機がソ連の領空を侵犯した
として撃墜された。乗客・乗員全員死亡。

アメリカはどの時点で事件を知ったのか。日本の役割はなんだった
のか。2年に及ぶ取材を元に書かれたノンフィクション。