18の事件への回顧録

日本のエボラ対策ってまったく対策になってないってことで
いいのかしら?

国と厚労省は何をしてるんだろうか。

『わたしが出会った殺人者たち』(佐木隆三 新潮文庫)読了。

佐木隆三と言えば『復讐するは我にあり』が真っ先に浮かぶ。
この作品は原作よりも映画を先に観た。映画を観て大分経って
から原作を読んだ。

犯人が中華料理店に立てこもり、パンツ姿で逮捕・連行された
『深川通り魔殺人事件』は事件自体のインパクトも大きかったが
作品で綿密に描かれた犯人の「電波に憑りつかれている」と
の言い分に、やりきれないものを感じた。

大事件の裁判になると必ずと言っていいほど佐木氏のコメント
が報道される。ご自身が「作家・裁判傍聴業」と名乗っている
ほど、裁判傍聴歴は半世紀にもなる。

その裁判傍聴半世紀の間に出会った18の事件の回顧録が本書。
それぞれの事件への考察というより、事件を引き起こした犯人
にまつまわる思い出エッセイという感じか。

「自分のことを書いてくれ」と手記を送りつけて来る犯人って
結構いるんだね。それがきっかで作品になったりするんだが、
犯人の言い分を丸呑みするだけじゃ「作家」とは言えないんだな。

裁判に通って周辺を取材し、事実関係を積み重ねて、時には
犯人の身内に遠慮がちに接したり。

「事件」を描くことの難しさってあるんだろうな。読む方は
好き勝手に批評していればいいのだけれど。

深川通り魔殺人事件の犯人に対しては、改めて切なさを感じた。
事件を起こす以前に誰かが病院へ連れて行ってあげれば防げた
かもしれないのに。

読み終わって『復讐するは我にあり』の映画を観たくなった。