グーグル先生
今日も今日とて、お客様のお問い合わせを受ける。
声の感じからは比較的若い女性だ。言葉遣いも丁寧だし、
聞きたいことの要点もはっきりと分かる問い合わせ方。
こんなお客様ばっかりだったらいいのになぁと思いながら、
一通り案内し終わって、派遣先のホームページでも各種
情報を掲載していることを話す。
そうしたら…。
「ホームページですか。Yahooでググればいいですか?」
「え…」
Yahooでググるって。「ググる」ってグーグルで検索する
ことを言うのではなかったっけ。
それとも私が知らない間にインターネットで検索することを
「ググる」と言うようになったのか?じゃあ、「MSNで
ググる」って言っても間違いではないの?
え〜ん、分からないよ。助けて、アルジャーノン(意味不明)。
少々悩みながら、次の問い合わせに移る私であった。
尚、私は検索はグーグルを多用しているが時々タイプミスを
して「もしかして○○ではありませんか?」と、グーグル
先生に指摘されている。シクシク。
引き続き『カストロ、銅像なき権力者』(戸井十月 新潮社)を
読む。
「そりゃ、もう少し金が欲しいなと思う気持ちがないと言えば
嘘になります。家族をバラダールにも連れてゆきたいし、自分
の車も欲しいです。でも、それって、どこまでゆけば満足する
んでしょうか。友だちにも、何人かアメリカへ行った奴がいます。
三つくらいの仕事を掛け持ちして、昼も夜も働いて金を稼いだ
彼らが、でも、キューバの方が良かったというのは何故なんで
しょう。実際、亡命したキューバ人の殆どが、何年か経つと
キューバに戻りたいと思い始めるんです。
私たちは、情報から遮断されているわけではありません。
アメリカのテレビも観、ラジオも聞き、世界中からの観光客と
も接します。キューバ人の殆どは、その上でこの国を選んで
いるのです。少なくとも、僕はアメリカを選びませんよ」
著者が「金を稼いで、もっといい暮らしをしたいと思わない
か?」と問いかけた際に、取材に同行していたキューバ人
ドライバーの答え。
ページをめくる手を止めて、しばし考えてしまった。