コツは「ちょっとひと手間」

デング熱発生の報道があってから我が家の中は蚊取り線香
煙でいぶされている。

夏と言えば蚊取り線香の匂いなんだが、ちょっと焚き過ぎじゃないか。
確かに夏の終わりの蚊はしぶといけどさ。

まぁ、害になる訳じゃないからいいか。

『思い出の先にはにつも家庭料理』(寛仁親王妃信子 マガジンハウス)
読了。

笑顔が素敵で、颯爽として、ファッショナブルな寛仁親王妃信子殿下。
胃潰瘍やら、更年期障害やら、気管支ぜんそくで長期療養に入られ
てからご動向がほとんど報じられなかった。

だから本書が出た時にすぐに購入した。以前にも料理本を出されて
おり、彬子女王・揺子女王おふたりの成人の会見でも料理上手な
お母様に言及されていた。

今回は東日本大震災の被災地に心を寄せられての出版だ。出来る限り
被災地の食材を使用した家庭料理はどれも難しいものではない。誰も
が作れるものだし、飽きの来ない基本的な料理が多い。

でも、昨今の料理研究家と称する人たちの料理と少々違うのは、
市販の出汁やドレッシングを使わずに、そこにひと手間かけて
いることだ。

掲載されてる料理ごとにエッセイが添えられており、そこに妃殿下が
生きて来られた環境が感じ取れる。

皇室に入る前は麻生財閥の末のお嬢様。それでも自ら料理を作り、
家族に振る舞っていたんだよね。ロールキャベツが「上の兄の好物
でリクエストもあった」ってことは、太郎ちゃんのことかな?

魚をさばいてお刺身にした時、父上から「刺身はうまいが、皿がまずい」
と言われてから、料理を盛る器にも気を配るようになったとか。

料理からも文章からも、妃殿下のお人柄の良さが漂って来る。

別居だとか、ふたりの女王殿下とのわだかりだとか報道が言う
けれど、本書のなかに「二十年ほど前に上梓いたしました『四季の
家庭料理』の時のように、この本もまた、宮様にもお喜びいただけ
ることと存じます。」とあるのを目にして、やはり寛仁親王殿下の
ことをいつも思っていらっしゃるのだと感じて目頭が熱くなった。

少しずつご公務にも復帰していらっしゃるようで、被災地へも足を
運んでいらっしゃる。妃殿下のレシピを元にしたジャムの販売も
行っているとか…。

さぁ、妃殿下の料理をお手本に、「ちょっとひと手間」かけて飽きない
料理に励もう。