あとに残される小さき者たちへ

福島第一原発の3号機が、想定より早い時期にメルトダウンして
いたって?

昨日の広島原爆の日東京電力が発表した。なんでこの日に
ぶつけたかね?意図的?

東京電力の言うことは疑ってかかっているので、今回ももっと
早く分かっていたんじゃないかと思ってしまったわ。

これでまた廃炉の工程が難しくなったってことかぁ。本当に廃炉
出来るのかな。

『この子を残して』(永井隆 アルバ文庫)読了。

昭和20年8月9日。2日前の広島に続き、アメリカは長崎に原子
爆弾を投下した。被害は甚大だった。原子の光は人も、街も
焼き尽くした。

本書の著者である永井隆放射線専門医として働く過程で
既に白血病を発症していた。この日、彼がいたのは爆心地
から700mの長崎医科大学の診療室。ここで被曝した。

重傷を負いながらも被災者の救援活動に動き回ったが、
原爆症を発症する。既に妻は原爆により自宅で亡くなり、
病身の彼には誠一とカヤノのふたりの子供が残された。

死は確実に近づいて来る。自分が亡きあと、ふたりの子供は
孤児となる運命なのだ。この子たちの行く末を思い、自らの
医師としての考え、父としての想いを綴ったエッセイだ。

著者はカソリックの洗礼を受けているので、考え方の根底には
信仰がある。一神教に馴染めない身としては理解しかねる
部分もあるのだが、子供を残して死に行く身である親の想い
には溢れるほどの愛があるのはわかる。

「この子を残して──この世をやがて私は去らねばならぬのか!」

この一文だけでも無念が伝わって来るではないか。それにして
放射線医が原子爆弾の光の犠牲になるとは。なんたる皮肉。
なんたる運命なのか。

ただね、原爆投下を「神の御摂理」っていうのは理解出来ない
のだ。これも私が信仰を持っていないからなのだろうけれど。