69年目の夏

憲法の崇高な平和主義の下で69年間戦争をしなかった事実を
重く受け止める必要がある」

広島への原爆投下から今日で69年目。平和記念公園で行われた
式典で、広島市長は上記の平和宣言を読み上げた。

被曝された方々も高齢になり、年々、被爆体験を語れる人が減って
いる。唯一の被爆国でありながら、語り継ぐことが出来なくならぬ
ように出来ないものか。

被爆体験を語れる人がいなくなってしまわないうちに、映像や
音声を残すことが出来ればいいのにと思う。そうして、希望する
人がいれば自由に聞けたり見れたりすればいいのに。

国はこの唯一無二の体験を保存しようとは思わないのかなぁ。

高校生の頃、百貨店内で行われていた原爆展を見に行った。
友人と二人、会場を巡るうちに言葉も少なくなり、あとはただ
自然と涙が溢れるだけだった。

歳を重ねた今でも原爆投下後の写真を見るのは辛い。それでも、
これが日本に起こったことなのだと受け止めて考えなくてはいけ
ないと思う。

69年目の夏。日本だけではなく、世界から核兵器も戦争もなくなり
ますように。

『この子を残して』(永井隆 アルバ文庫)を読み始める。

放射線専門医の著者は爆心地から700mの長崎医大の診察室
で被曝した。妻は原爆で亡くなり、彼にはふたりこ子供が残された。

病床に伏した父が考えたこと。子供たちへの思い。子供たちに
語ったことを綴ったエッセイである。