故郷の伝統と誇りは金で買えない

私のサッカーワールドカップが終わった。あ、決勝は楽しみですよ。
でも、ギリシャアメリカも負けちゃったんだもの。

ギリシャはお国が大変かだから。アメリカはこれまで「サッカー不毛
の地」だったから応援してたんだけどね。

アメリカ本土じゃ人気を誇るアメフトに迫る熱狂ぶりだったとか。
あ…あの人たちって「U.S.A!U.S.A!」って出来れば何でもいいの
かも。(^^ゞ

原発をつくらせない人びと──祝島から未来へ』(山秋真 岩波新書
読了。

日本は原発列島。でも、原発を作らせなかった地域も3か所以上
ある。紀伊半島がそうだし、石川県珠洲市もそうだ。

そして、西瀬戸内海の小島で原発反対を唱えて活動し続けている
人たちがいる。

中国電力が建設計画中の上関原子力発電所。予定地である田ノ浦
の対岸にあるのが本書の舞台となる祝島だ。

中国電力が建設を予定した地域の海には希少種の生物も棲息して
いる。海からの恵みを受け取って来た島に生まれ、歴史を辿れば
村上水軍の血を受け継ぐ人々は、海を守る為に巨大な権力機構で
もある電力会社に立ち向かう。

反対運動の中心となったのは島の女性たちだ。正に「おばちゃん」
パワー。毎週のデモに加え、船に乗り込み中電の作業を止めさせ
ようとする。中国電力本社前の座り込みにだって積極的。

常に非暴力。力に力で対抗するのではなく、自分たちが愛した
海を汚されることに対する憤りが、捨て身とも言える反対運動に
結びついていた。

反対運動を始めた時、40代だった人は70代に、50代だった人は
80代になっている。それでも、島のおばちゃん・おじちゃんは電力
会社からの一切の金銭を拒否し、反対運動を続けている。

交付金だとか、補助金だとか、補償金だとかをばら撒いて、推進
派に転向させるのがどの電力会社にも共通の手口だ。だが、この
島ではそえは通用しなかった。

金じゃ購えないものがある。それを知っている人たちの運動の
軌跡は一読の価値あり。

しかし、凄いわぁ。祝島のおばちゃんたち。嫌がらせに島へやって来た
右翼さえもおちょくっちゃうんだもの。