静かに、強い愛の物語

♪今から一緒に これから一緒に あぶりに行こうか♪

……。先日から旦那がこんな替え歌を歌っている。捕まっちゃった
からねぇ、ASKA

元は「週刊文春」のスクープだっけ。吸引現場を録画されて暴力団
に脅されている…なんて記事だったよな。

報道直後に本人は全力で否定した。やっていたのなら、その時点で
やめときゃよかったのにね。ずっと内定されてたんだろうな。

それにしても、ニュースの見出しが「シャブ&飛鳥」じゃ相方の方が
やっていたような印象になっちゃうよ。

『知覧からの手紙』(水口文乃 新潮文庫)読了。

「最近は、戦争が美談とされることもあるし、特攻隊を勇ましいと
憧れを持つ人もいる。でも、私たちは戦争がいかに悲惨なものか
を知っています。間違った事実がつたわないように、今、話して
おかないと、と思ったのです。あの時代を生きて、身をもって
体験したことを語る人は、毎年少なくなっている。長く生かされ
ていることに、何らかの使命が課せられているとしたら、それ
語り部の役割かもしれませんね」

愛し、結婚を約束した人は特攻隊員として散った。穴沢利夫
少尉。女性物のマフラーを巻いて、敵艦に突っ込んで行った
特攻隊員。

その婚約者であった伊達智恵子さんの聞き書きをまとめた
ものが本書だ。

言葉が、ない。

夫を、恋人を、兄を、弟を、父を。愛しい人が戦争で散った時代
があった。戦後生まれで、物が溢れる時代に育ち、価値観も
異なった時代を生きて来た私ににとって、本書は初々しく、
切ないラブ・ストーリーであり、戦場でなくとも死が日常のすぐ
隣にあった時代の物語である。

だからといって、遠い昔の話ではない。そうして、忘れていい
話でもない。

淡々と語られる、二人の出会いから穴沢少尉の死、そして
智恵子さんの戦後。それは安易に「感動した」とは言えぬ、
静かな力を持った生の証だった。

「智恵子 会いたい、話したい、無性に。」

穴沢少尉の遺書に書かれたこの一行が、すべてを語っている
のではないか。

「死んで来い」と、若者を送り出す過ちは繰り返してはいけい。