アドルフ・ヒトラーが出来るまで

アメリカの4大スポーツであるNBAで、選手がユニフォームを
裏返しに着用して無言の抗議。

とあるチームのオーナーが知人女性との会話で黒人差別と
取れる発言を繰り返していたことに対しての抗議だ。

じゃあ、NBAのオーナーにならなければよかったのにね。
白人選手の方が少ないんだからさ。

きっと自国の大統領が黒人であることもお気に召さないの
だろうね。こういう人は。

ヒトラーの秘密図書館』(ティモシー・ライバック 文春文庫)
読了。

蔵書数1万6千冊。私ではない。かのアドルフ・ヒトラーである。
その蔵書の一部がアメリカ議会図書館の片隅に眠っていた。

著者は保管されていたヒトラーの蔵書と、ページの所々に
残された書き込み、手紙や記録などを照合しながら、歴史
に名を留める独裁者が如何にして誕生したかを追っている。

1万6千冊と聞いてびっくりしたのだが、どうやらヒトラー
全部読んだ訳ではないらしい。読むより積読本の方が多い
だなんて、自分のことを言われているようで耳が痛いよ。

「若いころ、私には十分な教育を受けるために必要な資金も
機会もありませんでした。だから毎晩本を1冊ないし、2冊
読みました。ベッドに入るのがひどく遅くなった晩もそうでした」

無学だったことへの学歴コンプレックスがヒトラーを読書へと
向かわせた。そうして、本に書いてあることに感化されやすい
性質が後の独裁者としてのヒトラーを誕生させた。

これが独学を続けることの怖さなのか。軍事関連本から得た
知識を武器に、自分は将校たちよりも優れた才能を持ってい
ると勘違いしちゃうんだよな。

本から得ることの大きさは否定しない。学ぶことも多い。だが、
それだけを信じることに危うさってあるな。

尚、知識欲に燃える若きヒトラーも晩年はオカルト本に嵌って
いくのが少々哀しい。

読書遍歴からヒトラー像を読み解くという本書の試みは面白い。
ヒトラーに限らず、読書好きなら他人の本棚に興味があるもの
だものね。