20年続いた愛の物語

アメリカ・オバマ大統領が来日した。夕方、銀座にいたらすっごい
警戒態勢だったなぁ。

一応、国賓としての来日なのだが異例ずくめ。まず、ミシェル夫人
が同行していないし、宿泊先も迎賓館ではない。

TPP交渉も難航中(ご破算になれ)。持って帰ってもらうお土産
何もなしだ。大仰な警備体勢が迷惑なだけ。

心配なのは日本の次に訪問予定の韓国である。例の客船事故
から1週間。未だ行方不明者多数。そんな状況で晩餐会やるの
だろうか。う〜ん…。

あ、明日の宮中晩餐会には青年皇族となられた秋篠宮真子様
もご出席か?これは楽しみ♪

『ブローバック・マウンテン』(アニー・プルー 集英社文庫)読了。

さて、今月の「月に1冊、小説を読む」は「映画は観たけど
原作は読んでいなかった」シリーズである。ん?いつから
シリーズ化だ。

1963年の夏、ワイオミング州のブローバック・マウンテンで
イニスとジャックは出会った。

貧しい生い立ちのふたりは、夏の間、移動しながら羊の番を
する移動牧畜の仕事にありついた。その仕事に合間、ふたり
の友情は一線を越えた。

4年後、再会したふたりは共に結婚し家庭を持っていた。だが、
情熱的にお互いを求めあう。その後、ふたりは年に数回、
深い山中で逢瀬を重ねる。

ジャックはイニスとふたりでの生活を望む。ふたりで一緒に
小さな牧場で暮らさないか…と。しかし、イニスには幼い頃
に目にした同性愛者への仕打ちがトラウマとなって残って
いた。

そして、20年後に訪れる突然の幕切れ。

映画ではかなりロマンティックに描かれているが、原作である
本書はアメリカ西部のカーボーイの荒々しさと、不器用な、
でも熱い思いがわずか90ページ足らずのなかに凝縮されて
いる。

今でこそ同性愛者の権利を認める法律が可決された地域も
増えているが、依然としてマイノリティであるのに変わりない。
それが1960年代となれば、彼らへに向けられる嫌悪感は
相当なものだったのだろうな。

ラストは映画とかなり違っているが、これはこれでいいのだ
ろう。

ただ、残念なのは翻訳。めっちゃ直訳ぽいんだよな。そして、
映画でイニスを演じたヒース・レジャーが急性薬物中毒で
亡くなってしまったこと。結構、好きな俳優だったのに…。

『モーリス』もそうだけれど、同性愛ものでハッピーエンドって
なかなかないのよね。グスン。