神の代理人たちの存続をかけた闘い

新エネルギー政策はやっぱり原発再稼働ありき…なんだな。
まぁ、そうだろうな。予想はしていたけどね。

だってそうじゃなきゃ大手自動車メーカーが電気自動車に
力を入れるはずがないもの。

安倍晋三地震の主催で著名人を呼んで花見をして、景気の
いいことをぶち上げていた。

自分をよいしょしてくれる人間にしか興味がないんだろうな。
どうせなら原発事故で関東周辺に避難している人たちを呼んで
あげればよかったのに。

あ、そうしたら景気のいいことばかり言ってられないか。

バチカン近現代史 ローマ教皇たちの「近代」
との格闘』(松本佐保 中公新書)読了。

その昔、教会は絶大な権力を握っていた。それはローマ帝国
キリスト教を国教と認めた時から増大して行った。王権神
授説なんてのがあるくらい、世俗の王侯よりも偉い存在だ。

「破門」という武器の下、世界は教皇庁に膝を屈した。
ただし、破門されても気にしない。本来は教皇が指名する
枢機卿を自分たちで勝手に決めて送り込む等、舐め切った
態度を取ったヴェネツィア共和国は別だけど。

しかし、フランス革命以降、カトリック教会の権威は
失速を始める。本来であれば教皇が授けるべき王冠を、
ナポレオンは自身の手で掲げた。

本書は近世から現代にかけてのローマ教皇及び教皇庁
生き残りをかけた闘いの歴史だ。

小国が林立するイタリアの統一国家樹立による教皇
存続の危機、近代化の波との対立、そして宗教は阿片
という共産主義との闘い。

ピウス6世から20013年3月に即位したフランシスまで
教皇の、それぞれの時代に教皇庁が直面した危機と
対策をほぼ時系列でまとめている。

聖職者といえども、神に仕えるだけが仕事じゃない。
優れた外交手腕が必要だ。そして、世界史の大きな
流れの中でバチカンの役割は表に出ることがほとんど
ないと言っても過言ではないだろう。

特にヨハネ・パウロ2世の時代は興味深い。在位期間が
長かったこともあったのだろうが、本当に世界中を駈け
回った教皇であり、正教会ユダヤ教イスラム教との
和解・交流を実現し、宗教をベースとしながらもトップ
外交を成し遂げた。

バチカンものにありがちな、陰謀論は一切ない。だって、
わずか34日の在位期間で世を去ったヨハネ・パウロ1世
のことはほんの数行触れているだけだもの。

しかし、現在のバチカン市国の独立を認めたのがムッソ
リーニだっていうのが皮肉だよな。まぁ、カトリック
総本山としては何よりの悪は共産主義無神論者だから
なぁ。

カトリックに関する知識がなくても読める教科書的な
作品かな。