徒然に中央線沿線暮らし
アメリカによるビキニ水爆実験から60年ということもあって、
今年は第五福竜丸のニュースがテレビで流れている。
それもそうなのだが、実験場所となったロンゲラップ環礁に
あるロンゲラップ島の話は取り上げないのね。
美しいサンゴ礁に囲まれた島は、ポイズンの島に変わって
しまった。そして、故郷に帰れない人々がいるんだけどな。
第五福竜丸のことを語り継ぐのも大切だけれど、強制的に
ふるさとを奪われた人々が未だに帰島出来ないことも
報道しようよ。
新宿から西に延びるJR中央線。井伏鱒二等の文士が住み、
言葉で表すのは少々難しい独特の文化を持った地域だ。
専門学校や社会人になってから出会った友人・知人の
なかでも、デザイナー、イラストレーター、演劇関係、
音楽関係の仕事に就いている人の多くがこの中央線
沿線の住人だった。
サブカルチャー指向が強いと言ったらいいのかな?
でも、とんがっている訳でもなく、なんだかゆる〜く
生きている知り合いがほとんど。
本書の著者も中央線文化のなかで生活をしており、そんな
中央線沿線で過ごす日々や、音楽、本についてのエッセイが
詰まっている。
掃除して、洗濯して、散歩がてらに古本屋を覗いて、喫茶店で
本を読みながら一休みして、夜になったら酒場へ出かけ…。
同じ著者の『本と怠け者』もよかったけれど、本書も力を抜いた
生活がうかがい知れる。
「やりたくないことはやらない」
作家・山田風太郎の座右の銘だそうだ。著書もそんな風に生きて
いるように思う。
でも、年金は払った方がいいと思うけど。