幾億粒の砂になって

公共放送の会長が、なんで政治的なことを口にするかね?
安倍晋三お友達ラインで組んだ人事だからか?

国内どころか国外からも突っ込まれるようなことは言わん方が
いいぞ。

『サハラに死す 上温湯隆の一生』(上温湯隆:著/長尾
三郎:構成 ヤマケイ文庫)読了。

面積はアフリカ大陸の3分の1を占める。世界最大の砂漠で
あるサハラ砂漠

1974年、このサハラ砂漠単独横断と言う先人未踏の記録に
挑んだ日本人の青年がいた。

上温湯隆。高校中退後、日本国内をヒッチハイクで旅をし、
その後は海外へと飛び出す。そんな海外の旅の途中で
サハラ砂漠の魅力に憑りつかれた。

現地でラクダ一頭を手に入れ、ガイドもなくラクダと共に
広大なサハラ砂漠を踏破する。それが彼の夢だった。

しかし、スタートから3000km行ったところで唯一の同行者
であったラクダが死ぬ。中断は苦渋の決断だった。

いや、これだけでも凄いではないか。だって、砂漠の地図と
方位磁石だけで砂漠を進んだのだから。

中断後、アルジェリア時事通信社でアルバイトをしながら
日本からの送金を待ち、再出発の準備を整える。

そうして、再度挑んだ大自然。だが、彼が還って来ることは
なかった。再出発からわずかに10日前後、現地の住人が
灌木の下に横たわる遺体を発見する。

本書は出発地点に選んだイギリスから再出発するまでを、
彼が残したノートを元に構成されている。

そこにはサハラへの熱い思い、国連職員となる夢、現代社
への批判、思い通りに進まぬ旅への焦燥と苛立ち、楽な方へ
と引きずられる自身への反省が綴られている。

今、この時にしか出来ないことをしたい。それは時代が違って
も若い世代に共通した夢なのだろう。成功すれば冒険と呼ば
れ、失敗すれば単なる無謀な挑戦となる。

それを分けるのはいくつかの偶然なのだろう。彼の場合は
悪い方へと運命が導いたのか。

無謀と言うひとことで片づけてしまうのは簡単だ。ほとばしる
情熱を抑えられなかった青年の死は、確かに無謀な挑戦で
あったのかもしれない。でも、行動することで自分を変えよう
とした志は死んじゃいないさ。

尚、彼の遺体が家族の下に還って来たのは9年後である。