友だちって何だろう?

とあるセンター試験の会場で、宅配ピザを注文して事務局から
呼び出しの放送をされた剛の者がいるらしい。

会場へ行く前に、昼飯くらい買って行けよ。

『友だち地獄──「空気を読む」世代のサバイバル』(土井隆義
 ちくま新書)読了。

人から傷つけられたくない。そして、他人も傷つけたくない。
だから、人と衝突することを回避する。その場、その場に
合わせて空気を読み、曖昧な態度を取る。

それは本当の「優しさ」なのだろうかと、ふと思う。「優しさ」と
「弱さ」は紙一重。危ういところでバランスを取っているのか。

本書はそんな「優しい関係」のなかで生きる若者文化論である。
2008年に発表されたものなので、若干、ずれている部分は
あるものの、これは若い世代だけではなく、あらゆる世代に
共通するようになっているのではないだろうか。

いつも誰かと繋がっていたい。自分を評価して欲しい。常に
手元の携帯端末を気にして、「いいね」などの肯定評価が
いくつつかを気にかけて。

疲れないか?と思う。なんでそんなに「空気」が大事なんだろう。
少し前に「KY」なんて言い方があったが、私なんて「KY」どころ
か、「GY」よ。「時代が読めない」もの〜。

本気でぶつかって、時には口もきかない時期があって。それ
でもいつしかまた一緒に何かしている。それが友だちだと
思うんだけれど、今は違うんだろうな。

本音を隠して多くの人と頻繁にやり取りするより、何年も会わなく
ても会った時に時間を飛び越えられる数人の友だちがいれば
よくないか?

人との密度は、どんどん薄くなっていくのかな。それはちょっと
寂しい気がする。

尚、作者が共に自死を選んだ高野悦子二十歳の原点』と
南条あや卒業式まで死にません』の対比は面白かった。