逃げるが勝ちなんて許さない

「舛添氏の応援に大義はない」

小泉ジュニアの進次郎が言っちゃったよ。そうなんだよね、舛添氏は
自民党を除名処分になっているのだ。最初はそれを理由に支援を
しぶっていた自民党だった。

でも、細川の殿が都知事選出馬を決めた途端、手のひらを返した
ように応援ですって。

今回は思い切り進次郎に軍配を上げたい。

『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』
清水潔 新潮社)読了。

1979年8月3日。栃木県足利市で5歳の女の子が神社の境内から
姿を消した。行方不明から6日後、渡良瀬川近くでリュックに詰め
られた遺体が発見された。

1984年11月17日。栃木県足利市の5歳の女の子がパチンコ店
から消えた。2年後、白骨死体となって発見される。

1987年9月15日。群馬県新田郡尾島町(現・太田市)の8歳の
女の子が公園に遊びに行ったまま帰らず。翌年、利根川
河川敷で白骨死体の一部が発見される。

1990年5月12日。栃木県足利市の4歳の女の子がパチンコ店から
いなくなった。翌日、渡良瀬川の河川敷で遺体が発見される。

1996年7月7日。群馬県太田市の4歳の女の子がパチンコ店から
消える。現在に至ってもその行方は知れない。

県境で接するふたつの地域で起こった5件の事件は、北関東
連続幼女誘拐殺人事件と呼ばれる。そのきっかけを作ったの
が本書の著者だ。

元々はテレビの報道特集番組の企画から始まった。この5件は
同一犯による犯行ではないのか。だが、そこには排除しなくては
いけない事柄があった。

1990年の事件。いわゆる足利事件である。この事件では幼稚園
の送迎バスの元運転手の男性が犯人とされ、無期懲役の判決を
うけて服役中だった。そこで著者が手を付けたのが、元運転手
の男性の冤罪キャンペーンだ。

多くの人が記憶に留めているように足利事件は冤罪として既に
元運転手の男性は自由の身になっている。

足利事件の冤罪が認められるまでの過程を克明に描き、この
事件で封印されていた目撃証言から著者が真犯人であるとの
印象を強くした男性にも直当たりしている。

以前より気になっていた事件だけに興味深く読んだのだが、
前著『桶川ストーカー事件 遺言』ほどの衝撃はなかった。

本書でも警察の杜撰さを指摘するのに桶川ストーカー事件を
追った当時のことが記されているのだが、ここまで詳しく書く
必要があったのだろうか。

加えて、足利事件と同じ方法でDNA型鑑定が行われた飯塚事件
(犯人とされた男性は終始犯行を否定。しかし、死刑判決が出て
既に執行されている)を克明に描いている。

DNA型鑑定の瑕疵をこれでもかと挙げる為なのだろうが、これも
どうなのか。桶川ストーカー事件と飯塚事件に紙数を割くので
あれば北関東の5件の事件の詳細を綴った方がよかったのでは
ないだろうか。

確かに執念の取材ではあるだろう。ただ、被害者がどの事件も
幼い女の子だというのもあるのだろうが感傷的な部分も多い。
事件解決を促すような、著者の見た夢の話は書かなくても
よかったんじゃないかな。

いずれにせよ、5人の女の子が被害者となった事件は解決を
見ていない。きっとどこかに犯人はいる。それは著者が指摘
している男性かもしれないし、違う人物なのかもしれない。

しかし、1996年でぷっつりと犯行が止んでいるのはどうして
なんだろう。