その時、少女は15歳だった

フィギュアスケートのロシア選手権。12年ぶりにプルシェンコ
王座陥落だ。ソチ代表の決定は1月のヨーロッパ選手権が終わって
からだが、これで男子シングル1枠の行方が分からなくなった。

それにしても、12年間も国内トップって凄いわ。

『わたしはマララ 教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた
少女』(マララ・ユスフザイ/クリスティーナ・ラム)読了。

15歳。日本では中学3年生から高校1年生くらい。学校へ行くのが
当たり前の日本だけれど、世界にはそうではない地域もある。

路上生活をする子供たち。家計の足しにする為に働かなくては
ならない子供たち。貧困層ばかりではない。

学校もある。勉強も出来る環境もある。それなのに、女性に生まれ
て来たというだけで、教育は不要と言われる子供たちがいる。

その時、彼女は15歳だった。2012年10月9日。学校から帰宅する
スクールバスに顔を隠した男が乗り込んで来た。

「どの子がマララだ?」

男が持ったいた銃は、彼女に向けられた。一瞬の出来事。マララ・
ユスフザイは重傷を負い、後にイギリスの病院で治療を受ける
ことになる。

世界中がこの銃撃事件に注目した。彼女はこの銃撃事件が起きる
前も闘っていた。そう、彼女から、彼女の仲間たちから教育を取り
上げようとして来たイスラム原理主義者たちと。

本書はマララが銃撃され、イギリスでの生活を余儀なくされるまでの
手記だ。共著者の筆がどれだけ入っているのかは不明だが、銃撃
以前のマララの活動や、リベラルな父の影響を受けてすべての子供
たちに教育の機会をとの活動に取り組んで来た軌跡が描かれている。

日本では銃撃事件以降のことしか報道されないが、それ以前にも
彼女はいろんな活動をしていたし、父共々、何度も脅迫を受けて
いたんだな。

性別が違う、宗教が違う。そんな理由で教育を受ける機会を取り上げ
られる理不尽な世界。日本では当然の権利だけれど、そうではない
地域も数多く存在する。

先日、テレビの情報番組を見ていたら日本の小中高校で不登校
児童・生徒が増えているという。そのなかで高校での不登校の理由
で多かったのが「無気力」だった。

学べる機会が与えられているのに、それを自ら放棄しようとすること
は、マララたちの世界からは贅沢以外の何物でもないだろうな。

学校、辞めたいな…なんて考えている子供たちがいるのなら、是非
とも本書を読んで考えてみて欲しい。勉強を続ける為に、闘い続け
命の危険に晒されている少女たちがいることを。

それにして不思議なのはパキスタンという国。この国のお偉いさん
たちは、本気でマララ襲撃犯を捕まえる気があるんだろうか。