敗者の側からの維新史

思っていても言うな!と感じることがままある。一般人ならまだしも、
メディアに登場する人が言っちゃうのはまずいだろう。

「(島倉さんに)私のカムバックにふさわしい舞台を用意して頂いた」

自称・報道番組(私は認めないぞ〜)を降板した、みのもんた
ラジオでの発言である。先日亡くなった歌手・島倉千代子さんの
葬儀への出席を表明しての言葉だ。

クズだわ。どうしようもないクズだわ。亡くなった人を見送る場を
自分のカムバックの舞台にするだと?とことん、自分のことしか
考えてないな。死者を悼む気持ちなんかこれっぽっちもない。

すべてのメディアから消えてくれないか。

西郷隆盛伝説』(佐高信 角川文庫)読了。

新撰組が好きな友人に「え〜、テロ集団じゃん」と言ってボコボコ
にされたのは数年前だ。

幕末から明治維新。いろんな人物が登場している。現在放送されて
いるNHK大河ドラマもそんな時代だものな。

この時代の人物で誰が好きかと聞かれることがある。私の周囲で
は圧倒的に坂本龍馬の人気が高い。坂本龍馬には申し訳ないが、
テレビ・ドラマで長年教師役を演じたタレントが龍馬好きなのが原
因で、私は龍馬まで苦手になった。

強いてあげれば勝海舟西郷隆盛なのである。上野のお山の
西郷さんは子供の頃から見ていたからというのもある。

太い眉に大きな目、どっしりとした体格。実物の西郷さんとは違うとの
説もあるが、やはり私にとっての西郷隆盛は上野の銅像のイメージ
なのだ。

本書は西南の役で没したなかに庄内藩の子弟がいたこと、山形県
酒田市南洲神社があることから西郷隆盛庄内藩の係わりを
紐解きながら、「賊軍」側からの維新史となっている。

もうねぇ、佐高氏の知識について行くのが精一杯。元々、幕末が苦手
なので名前さえ知らなかった人物がたくさん出て来て、その度に調べ
ものである。

四苦八苦しながら読んだけれど、徹底的に叩きのめされた会津と、
無血開城した庄内の対比など興味深いことが多かった。

いや〜、会津に対する長州の過剰なまでの憎しみは嫌悪感さえ
抱くよ。後の下北移封なんてただの嫌がらせだもん。東北は
日本じゃないと思っているだろう。あ…そんな長州の血を引いた
政治家もいるなぁ…。

さて、西郷さん。勝海舟と共に江戸城無血開城を成し遂げた
功績もあるのに、明治新政府から距離を置き、新政府の要職
に着いた人々を「泥棒」呼ばわり。私利私欲に走り、瀟洒
屋敷に住み、妾を囲う人々が相当お嫌いだったのだな。

西郷さんの本、もっと読まなくちゃだわ。それに田中清玄や
昭和の政治家・伊東正義のことももっと知りたい。読んだから
といって、佐高氏の知識に追いつける訳じゃないんだけど。

幕末から明治まで、軸足を違えてみると教科書にはない歴史
が見えて来るんだな。どっちが正しいかなんて判断は出来ない
けれど。

山形県と言えば藤沢周平だけれど、藤沢さんは西郷さんを
描いていないのかな?