第3の敵は手強かった

次から次へと出て来るね、飲食店でのメニュー表示の問題。
妙なものが入ってなくて、おいしければいいけどね。

既におせち料理でも発覚。これから益々出て来そうだな。

ベトナムの泥沼から』(デービッド・ハルバムスタム みすず書房
読了。

本書の著者であるハルバースタムもそうだが、ヴェトナム戦争時に
は後に名を馳せる記者たちがインドシナに集まっていた。

『輝ける嘘』を著したニール・シーハン、湾岸戦争の際にギリギリ
までバグダッドから中継を続けたピーター・アーネット。みんな
若く、情熱に溢れていた。

そうして、彼らがアメリカ本国から遠く離れたインドシナから送る
レポートは政府発表とは大きく異なっていた。

ハルバースタムがヴェトナムにいたのは15カ月。南ヴェトナムの
ジエム政権がカーン将軍によるクーデターで倒れるまでだ。なので、
後のトンキン湾事件から始まるアメリカの大規模介入時には現地に
はいなったか。

それでも、アメリカ政府が泥沼の戦争に引きづり込まれていく前兆
はあった。

南ヴェトナム大統領であるジエムは実弟のニュー(本書の記述に
準ずる)を重用し、その夫人までもが政府を自由に操ろうとする。
ジエムは徐々に身内の話にしか耳を傾けなくなる。

そして、政治的登用をされた政府軍のお偉いさんたちは、被害を
最小限に留めることが評価させる基準となる為、ベトコンとの戦闘
をしたがらない。これでどうして着々と勝利していると言えるのか。

アメリカ・メディアの記者たちは、実際に従軍してその目で見たこと、
基地で耳にしたことを本国に書き送る。

アメリカ軍事顧問団は、南ヴェトナム政府に振り回されている。
アメリカ政府が発表する勝利の報告は欺瞞である…と。

著者は一連のヴェトナム報道で1964年のピューリツア賞を受賞
している。

その一方で、政府発表に反するレポートを送り続けることが当時の
ケネディ政権の逆鱗に触れ、ハルバースタムをヴェトナムから配置換
えしろと「ニューヨークタイムズ」に圧力をかける。

勿論、「ニューヨークタイムズ」は応じなかったのだが。

本書はアメリカの介入初期の様子が詳しく書かれている。加えて、
そこで活動していた記者たちの動きもだ。

印象深かったのは同じヴェトナムで戦ったフランスと、アメリカの
違い。フランスはヴェトナムに居座ろうとして戦ったが、アメリカは
ヴェトナムから出て行こうとして戦った。これに納得。

アメリカが戦う相手はまずはベトコンだった。次に支援していた
南ヴェトナム政府。そうして、一番手強かったのが第3の敵とも
言える、自国のメディアだった。