反骨でも変人でもない

右寄りの思想の持ち主じゃなけれど、皇室の動向には注目している。

天皇皇后両陛下が熊本県をご訪問された。おふたりともご高齢の上に、
体調も万全ではないのにご公務を休まれることがほとんどないんだよね。

ハンセン病水俣病の資料館等をご訪問だった。あ…水俣って、かの
妃殿下は行かないのかな。ブツブツ…。

熊本県と言えば人気なのがゆるキャラくまモン。両陛下もくまモン
ご対面。そこで衝撃のお言葉が。

くまモンさんは、おひとりなのですか?」

あぁ、皇后様、それは聞いていはいけないこと。県知事も慌てただろう
なぁ。

『フランス反骨変人列伝』(安藤正勝 集英社新書)読了。

タイトル買したんだよな、この本って。私が思い浮かべる反骨の人と
言えば、宮武外骨桐生悠々なのだ。だから、このふたりに似たような
フランス版のミニ評伝なのだろうと思った。

読んだ結果…。本書で取り上げられている4人は、誰も反骨でも変人
でもなかったよ〜。シクシク。

強いてあげれば最初に出て来るモンテスパン公爵だろうか。この時代の
貴族にしては異例の恋愛結婚で結ばれた美しい妻を、太陽王ルイ14世
に寝取られた男。

この時代、人妻が国王の寵姫となることは珍しくない。夫は妻と引き換えに
宮廷や軍での出世を約束されるのだから。

でも、モンテスパン公爵はそれをよしとはしなかった。妻を取り戻そうとして
失敗すると、葬送の馬車を仕立てて領地へ戻り妻の葬儀までしちゃうのだ。

国王とナポレオンの間でふらふらと揺れ動いたネー元帥なんて、ただの
優柔不断だし、犯罪者であり獄中で文才を認められたラスネールに
至っては自分の不運をすべて世の中のせいにしているだけだもの。

最終章で取り上げられている、パリの公式処刑人・サンソンも反骨で括る
には大いに疑問だ。ただ、家業が処刑人という一家に生まれた6代目の
苦悩や死刑制度への懐疑的な思いは興味深かった。

タイトルにこだわらずに読めば、歴史に埋もれた人たちの生き方として
楽しめるかも。