そして心臓だけが残った
NHKオンデマンドのサイトに登録したので、見逃していた番組で
無料放送しているのはないか探す。
あった。NHKスペシャルで放送された「被曝治療83日間の記録」。
後に『朽ちていった命』のタイトルで書籍化されたが、映像を観る
のは今回が初めてだ。
1999年9月30日、茨城県東海村のJCO施設で起きた臨界事故。
その事故で被曝したうちのひとり、大内久さんの治療の記録を
追ったドキュメントだ。
本で読んだ時も衝撃を受けたが、実際に治療にあたった医師や
看護師(注:番組内では「看護婦」)の証言に言葉を失う。
まず白血球が減少する。妹からの輸血も行われたが放射能を
受けた細胞がその白血球を攻撃する。染色体は破壊され、
皮膚は再生不可能となり、体の表面から血液と水分が滲み
出す。
体の表面だけではない。腸内の粘膜が剥がれ落ち、そこから
も出血する。
日本初の臨界事故。勿論、治療に係わる医師たちも初めての
体験だ。症状に次々と対処するしかない。
そして83日目。大内さんは息を引き取った。臨界のことも教え
られず、改悪されたマニュアル通りに仕事し、大量の放射線
を浴びた体は、それこそボロボロだった。
細胞も、筋肉もずたずたになった体の中で、唯一、心臓の筋肉
だけが破壊されていなかったそうだ。それが心臓の筋肉の持つ
特殊性なのか、治療の過程で使用した薬の影響なのかは不明
だという。
見終わってしばらく呆然としていた。これが放射線被曝の恐ろしさ
なのだな。
引き続き『アフガン侵攻 1979-89 ソ連の軍事介入と撤退』(ロドリク・
ブレースウェート 白水社)を読む。
アフガンのことはアフガン人同士で解決しろよ。ソ連は乗り気じゃなかった
のか。アメリカが主張した「ソ連は不凍港を得ようとしているんだっ!」は
西側のプロパガンダか。