暴走する鬼子となる

教職員が国歌斉唱をしているか、管理職は目視せよ。

大阪府教育委員会が府立学校に通達を出した。大阪市長の人が
大阪府知事の人の時、教職員は起立して国歌斉唱をせよとの
条例を出している。今回はそれの徹底というところか。

2004年の園遊会。招待客との会話の中で、今上天皇国旗掲揚
国歌斉唱について「強制でないことが望ましい」と発言している。

大阪府、一体、何になりたいんだろう。

治安維持法 なぜ政党政治は「悪法」を生んだか』(中澤俊輔 中公
新書)読了。

1枚の写真が証拠とされ、共産党再建の為の集まりだとの特高警察
の主張から発生した「横浜事件」。1944年のことだった。

事件は明らかなでっち上げ。しかし、特高警察の過酷な取り調べの
過程で犠牲者も出ている。

戦後、元容疑者の名誉回復の為の再審が行われたが、事件の際の法
律が既に存在しないことから免訴の判決が出た。そうして、2010年になり
実質無罪とも言える刑事補償が決まった。

適用された法律は「治安維持法」。元々は共産主義への警戒から
結社を取り締まる為に生まれたものだった。民主主義・自由主義
転覆を計るものから、国体を守る為のものだった。

1925年に成立した治安維持法の内容は漠然としていた。いかようにも
解釈出来る。これが後の特高警察の暴走の温床となった。小林多喜二
の虐殺を持ち出すまでもなく、特高警察にとって治安維持法は錦の
御旗だった。

ターゲットは共産党だけではない。新興宗教も次々と弾圧された。
そして、治安維持法を生んだ政党政治は崩壊に向かい、戦時色の
強くなった時代には反戦を唱えただけで適用されるようになる。

本書は治安維持法の誕生と変化の過程、植民地であった台湾・朝鮮で
の適用から戦後のGHQによる人権指令での廃止までを分かりやすく
解説している。

悪法もまた法なりとはいうが、そもそも思想を裁くことには無理がある。
誰が人様の頭の中まで分かるというのか。悪法が法として通用した
時代になんて、もう戻りたくないね。