学者から大統領の家庭教師へ

早朝から外の様子を伺う。強風に豪雨。やっぱり来たか、台風が。
しかし、「台風が来ますよ」って言われているのにサーフィンに行く
人って何?自殺行為じゃん。

ご年配の方が「畑が心配」とか「田んぼが心配」と言って見に行って、
亡くなってしまうのとは訳が違うんだけどなぁ。

『ライス回想録 ホワイトハウス激動の2920日』(コンドリーサ・
ライス 集英社)読了。

人種差別が濃厚に残るアラバマ州バーミングハムで生まれた
少女は、「教育が人種差別の壁を越える手段」という両親の
信条に背くことなく育つ。

そして、パパ・ブッシュ政権下でロシア・東欧の専門家として頭角を
表し、子ブッシュ政権では国家安全保障問題担当補佐官、国務長官
を歴任する。

子ブッシュの大統領就任後、8ヵ月で起きたのが9.11アメリカ同時
多発テロだ。この事件を皮切りに、子ブッシュ政権の8年間は大きな
出来事の連発だ。

アメリカ大統領という、世界でも大きな存在の近くで過ごした8年間を
綴った本書は、ハルバースタム『ベスト&ブライテスト』にも劣らない
アメリカ政治のダイナミズムを伝えてくれる。

9.11から始まったアフガニスタン戦争、それに続くイラク戦争、イスラ
える・パレスチナ問題の調整、北朝鮮とイランの核開発、インドと
パキスタンの問題、中国の台頭。

これでもかっ!ってほどてんこ盛り。670ページ超、上下2段組み、
しかも改行少な目、文字びっしり。読むのに時間はかかったが、
翻訳のうまさもあり興味深く読めた。

ロシア・ラブロフ外相とは衝突しながらも結構、仲良しなんだよな。
でも、自分のところの副大統領だったチェイニーは相当嫌いだった
ようだ。政権中枢にいた8年間、ホワイトハウスvs副大統領府みたい
な感じだったものな。

自分が仕えた子ブッシュにはあくまでも忠実。しかし、時には大統領
の発言や態度をたしなめたりする。それもかなり効果的に。IQ200
との噂もあるライスさんだが、本当に頭が切れるんだなぁ。

少々の値段のはる本書だが、読んで損はなかった。小泉政権以降、
日本の首相がコロコロ変わることに対しての苦言もある。すいません、
名前を覚える前に首相が変わっちゃって。

アメリカ視点で書かれているので、「あぁ、アメリカはこう考えるのか」
との参考にもなる。日本人視点で読むと、受け取り方が違うのだけれ
ど、それは仕方ないね。

子ブッシュの良き家庭教師は、再び研究者生活を送っているようだ。