ヴィクトリア朝に挑んだダンディ

国が責任を持って除染します。でも、線量が上がっても再除染は
しません。線量計を渡すから、あとは各自で積算線量の管理を
してね♪

バカヤロー。内閣府の説明会がとんでもないぞ。復興予算を
電力会社の支援に使うなら、再除染の費用くらい出せよ。
プンスカ。

オスカー・ワイルドの生涯 愛と美の殉教者』(山田勝 NHKブックス
読了。

『ドリアン・グレイの肖像』のラストに衝撃を受け、『幸福な王子』では
つばめの自己犠牲に涙した。ヘルムート・バーガー主演の映画版
『ドリアン・グレイ』を観たのは遥か昔。

オスカー・ワイルドアイルランドに生まれた作家にして詩人。そして、
ヴィクトリア朝の道徳観と階級主義の人身御供になった人。

彼の生涯を追ったのが本書なのだが、同性愛の罪で裁かれた
「ワイルド裁判」に重きを置いているようだ。

そこへ辿りつくまでの章は、彼を取り巻く人々や、その時代の思想・
風俗・文化の描写で寄り道が多い。まぁ、バック・グラウンドを知る
にはいいのだが、ワイルド本人を知りたくて手に取ったのでちょっと
物足りないかなぁ。

同性愛と、下層階級との付き合いを問題視されたワイルド。裁判で
は有罪を宣告され、ダンディズムを貫いた彼は投獄される。

数々の著作と、アメリカでの講演で時代の寵児となったワイルドも
出獄後は貧困と病に悩まされる。

大英帝国を離れることを余儀なくされたワイルドは、パリで病に
倒れ帰国すること叶わず他界した。46歳だった。

朦朧とする意識の中で、自分を追い詰めたイギリスへ帰ることを
望んだワイルドが哀しい。それにも増して切ないのが、彼の妻
であったコンスタンスだ。

資産家の娘であった彼女は、ワイルド裁判の後、ワイルドを名乗る
ことを止めたが破滅した夫の身を案じ、自分の死後も夫に幾ばくか
の金が渡るように手配している。

あと100年、ワイルドが遅く生まれていたら裁判にかけられることも
なかったのだろうな。でも、100年遅く生まれていたら、時代の寵児
になっていたかは分からないけれど。