野蛮人が攻めて来たぞ

「自分の意図とは違う」

またそんな言い訳ですか。だったら最初から意図したことをきちんと
言えばいいじゃん。

自民党政調会長高市早苗の「原発事故で死者は出ていない」発言
が、安全性をないがしろにして再稼働する気か?と批判されたので
それに対するセンセイの言い訳。

もう政治家には期待していないけどさ。私、生理的にこの人の顔が
苦手なんだよな。お願い、ニュースになるような発言しないで。
途中でチャンネルを変えるのが面倒くさいから。

『アラブが見た十字軍』(アミン・マアルーフ リブロ)読了。

「聖地エルサレムを異端者から奪還せよ」

中世ヨーロッパが編成した十字軍はアラブを目指す。目指されたアラブ
は寝耳に水。「え?何それ?こっちは支配地域争いでや跡目争いでそ
れどころじゃないんだけど?」

そうして奴らはやって来た。カソリック以外は認めないぞ。だから、ユダヤ
教会も東方正教会も焼き討ちである。ヨーロッパから来た野蛮人たちが
標的にしたのはイスラムだけではなったのだ。

イスラム側からの資料を駆使して書かれた本書は、学術書というより
歴史小説を読んでいるようだった。ただ〜しっ!溢れる人名が頭に
入れば…だけれど。

もう誰が誰だか混乱の極み。数ページ読んで数ページ戻って、「あれ?
これ誰だっけ?」の繰り返しだった。

それでも自分が持っている少ない知識が、いかに西洋史観に支配
されているかが明瞭になった。

十字軍の頃、文化が進んでいたのはイスラム世界の方だったのね。
その後、イスラムの文化を吸収したヨーロッパと、ヨーロッパの文化を
拒んだイスラムで大きな違いが出てくるんだけど。

人名さえ乗り越えれば非常に面白い読み物だ。イスラム側からの
視点で書かれているので、勿論「十字軍」なんて言葉は出て来ない。
フランクとか侵略者、野蛮人なのである。

本書を読んでから改めてヨーロッパ視点で書かれた十字軍物を
読むのも面白いかも。

あ…塩野七生氏の『十字軍物語』、まだ文庫にならないのかなぁ。