日本語。この厄介で、愛おしい言葉

チベット自治区の、伝統の町並みが消えているらしい。中国が進める
再開発で、次々と新たな建物が建設されているようだ。

中国曰く「住民アンケートでも満足度が高い」そうなのだが、それって
大量に移住させた漢民族だけの答えでしょう。チベットの人たちには
一切聞いてないんじゃない。

地図の上のからもチベットは消されてしまうのか。う〜ん…。

『日本語大博物館 悪魔の文字と闘った人々』(紀田順一郎 ちくま文庫
読了。

「フランス語が世界で一番綺麗な言葉だから、日本語を廃止して
フランス語を公用語にしよう」と言ったのは、志賀直哉だったか。

誰が「世界で一番綺麗な言葉」って決めたんだよ。バンバンッ(←机を
叩く音)。

我が旦那はロシア人。母国語のほかにいくつかの国の言葉を話す。
日常の会話では日本語も不自由しない。だが、書くとなると大変な
ようだ。

本人曰く「話すのが難しいのはフィンランド語。書くのが難しいのは
日本語」だそうだ。

そうして言われる。「ひらがな・カタカナ・漢字、いっぱい知っているのに
どうして文字数の少ないキリル文字(ロシア文字)が覚えられないの?」

欧米の言葉に比べて、圧倒的に多くの文字数を擁する日本語。この
やっかいな言葉をどうにかしようとした人たちの壮絶な闘いを追った
のが本書だ。

今より遥かに識字率が低かった明治時代には、「漢字があるから
いけないんだっ!」という論が出て、漢字廃止運動まであった。

そういえば石川啄木は「ローマ字日記」を残してるよね。かな書き
だけにしようとか、ローマ字表記のみにしようなんて運動もあった。

文化が進めばメディアも進む。本書では活字の誕生や、和文タイプ
ライター。写真植字の開発の記録なんて、本当に涙ものである。

日本語。膨大な文字数を擁するやっかいな言葉。でも、どんなに
面倒でもやっぱり母国語だもの。愛おしいのさっ。

尚、本書はカラー図版も豊富で資料として保存するのに最適。