書痴一代男

遂に引退表明か。フィギュア・スケート、ペアのロシア代表、川口・
スミルノフ組である。

「ペアがやりたい」とロシア国籍まで取得して、単身、ロシアに渡った
川口悠子ちゃんももう31歳か。年齢的にも限界だろうな。

地元開催となるソチ・オリンピックのシーズンで競技生活にピリオド。
昨シーズンはパートナーのスミルノフの故障もあり、あまりいい成績
ではなかった。

非国民の私としては全力で応援したいっ!措置では是非、4回転の
スロージャンプが成功しますように♪頑張れ、悠子ちゃん。頑張れ、
サーシャ。あ、スミルノフも「アレクサンドル」なんだよね…ボソ。

『書痴 斎藤昌三書物展望社』(八木福次郎 平凡社)読了。

大正末期から昭和初年にかけて、円本ブームが巻き起こった。
その仕掛け人でもあるのが本書で取り上げられている斎藤
昌三である。

元々は好事家とでも言うのだろうか。性神の研究に端を発し、
発禁本の蒐集・研究、蔵書票の蒐集などで知られる人だ。

その斎藤昌三と交遊のあった著者が、昌三の生涯と作品、
昌三同様に書物を愛した「書痴」たちをの交友を描いている。

書物雑誌の発行も行った昌三だが、彼が主催した書物展望社
凝った装丁の限定本・豪華本を世に出した。

この作品中の何点かが口絵カラーで掲載されているのが嬉しい。
使用されている素材が番傘だったり、新聞紙だったり、竹だったり。

相当に手間暇かかった装丁である。今はもう出来ないだろううなぁ。
しっかりとした製本を出来る人もいないだろうし。

百貨店での古書店開催を発案し、発禁本を集めて発行し(勿論、
後に発禁)、書物展望社から出した凝った装丁本を自ら「ゲテ
装丁」と呼び、次々に書物雑誌を発行し、書物の世界にどっぷり
とつかった人。

斎藤昌三の名前は知っていたが、奇人の代表とも言える三田
平凡寺や淡島寒月とも交友があったとは知らなかった。

奇人は、奇人を呼ぶのかな。平凡寺とは袂を分かったようだ
けれど。

尚、本書の著者、神保町の生き字引と呼ばれた「日本古書通信」の
八木福次郎も昨年鬼籍に入った。あちらで昌三と再会し、古書談義
に花を咲かせているのかな。