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取り敢えず、読書記録連投です。

東日本大震災 語られなかった国交省の記録 ──ミッションは「NOと
言わない」』(道下弘子 JDC出版)読了。

リエゾン。フランス語で「つなぐ」「連絡将校」を意味する言葉だ。

東日本大震災の発生直後、国土交通省出先機関である東北地方
整備局は被災自治体に対して、いち早くリエゾンの派遣を行った。

自然災害が起れば、被災自治体の支援には当該の都道府県が
あたる。しかし、東日本大震災では被害は広域に渡り、頼るべき
県さえも大混乱を来していた。

自治体の首長に張り付いて、要望を伝えろ」。派遣されたリエゾン
局長の指示通り、市町村長の傍で各自治体の被災状況や必要な
支援物資の情報を得る。

「何でもやります。何でも言って下さい」。リエゾンたちの存在に当初は
戸惑っていた自治体も、次第にその働きに信頼を置き、次々と要望を
出して来る。

被災地から求められる支援や物資には、本来であれば国土交通省
所管ではないものも含まれている。しかし、時は非常時。「所管が
違うから」なんて言っていられない。

予算の裏付けはないけれど、まだ補正予算が残っている。後で他の
省庁から突っ込まれるかもしれない。だが、それは本省の担当者が
解決してくれればいい。

本来の仕事である土木も勿論だが、それ以外でも国交省の職員たち
が果たした役割は大きかった。

被災者やメディアの目に触れないところで、発災直後から被災地を
支えた力は大きかった。

本書はほとんど表に出ることのなかった国土交通省の活動に光を
当てて書かている貴重な書だ。だが、いろんなことを詰め込め過ぎて
深みがないのが残念。リエゾンだけに的を絞ればよかったのに。

リエゾンの働きについても自治体ごとの章建てになっているので、
重複部分もちらほら。時系列でまとめてくれた方が読み易かった
かもしれない。