年下の男の子

仕事帰りに地元の新刊書店へ立ち寄った。棚を眺めながら店内を
ぶらぶらしていたら、入学前くらいの男の子とお母さんが手をつないで
立っていた。

そこへ現れたのは書店員さん。「ありました。最後の1冊でした」。そう
言って屈んで男の子の手に本を渡していた。

ちらっと見る。戦隊ヒーローものの本らしい。受け取った男の子の
顔に満面の笑みが浮かぶ。

「有難うございます。何軒も回ったんですが、どこも売り切れで。
ほら、お姉さんに「有難う」は?」

そうか。1冊の本を探す為に、親子であっちへ行ったり、こっちへ
行ったりしていたのか。お母さんも嬉しそうである。

探してくれた書店員さんに、何度も「有難う」を言って男の子は
お母さんに手を引かれてレジに向かった。

スキップしているよ。可愛いね。どこの誰とも知らぬ子だけれど、
心から喜んでいるであろう後ろ姿を眺めていたら、今日1日の
仕事の疲れも吹き飛んだ。

いい光景を見せてもらい家路につく。勿論、私はスキップなど
しない。それは軽やかではなく、ドスドスと音がしそうだから。笑。

『兵士は起つ 自衛隊史上最大の作戦』(杉山隆男 新潮社)を
読み始める。

東日本大震災では東北地方を拠点とする自衛隊の駐屯地にも
津波が押し寄せた。そんな多賀城駐屯地と松島駐屯地を中心
として、東日本大震災での自衛隊員たちの活躍を描くノンフィクション。

そうだよな、救援・支援に当たった彼らも被災者なんだよな。