言論封殺

大阪市長の人がまた騒いでいる。否、騒いでいるというより、蒸し返して
いる…の方がいいのかな。

週刊朝日」で連載されるはずだった佐野眞一氏の記事で出自を暴露
され(注:それ以前にも出自について触れたジャーナリストはいた)、
差別だなんだと騒いで過剰なお詫び掲載で、この件については手打ち
になったはず。

それなのに「法的手段に訴える」と来た。お気に召さなかったのだろうね、
「橋下氏では視聴率は取れない」とか「人気のなくなった政治家はネット
やテレビに頼る」って書かれたのが。

この人にかかっては「言論の自由」なんてことは通用しないようだ。自分の
気に入らないものはとことん叩かないと気が済まないんだろう。

市長の仕事って暇そうでいいね。メディアに出て、キャンキャン喚いていれば
いいんだから。あー、くっだらないっ!

『去年、ルノアールで 完全版』(せきしろ マガジンハウス文庫)読了。

都内を中心にチェーン展開する喫茶室ルノアール。カフェ全盛のこの
時代にあって、未だに昭和の雰囲気を保った喫茶店である。

コーヒーが飛びきり美味しい訳でも、メニューが充実している訳でも
ない。それでも、一休みしたい時に手頃な店がないとルノアール
足が向く。

ルノアールの椅子には魔力がある。ふかふかとし、すーっと体が沈んで、
そのまま心地いい眠りに誘ってくれる。

その証拠に、昼間のオフィス街のルノアールでは椅子に身を沈めて
ひと時の眠りを貪っているサラリーマンの姿を多く見かける。

そんなルノアールに通って、人間観察をしながら妄想を膨らませてる
のが本書の著者だ。

断言する。本書を読んでも何も得るものはない。だが、著者の妄想っぷり
を読んでいるといつの間にかニヤニヤしてしまう。

他の客の会話からその背景を妄想し、子供の帽子に書かれた英文から
妄想し、席で見掛けた忘れ物から妄想する。もう、妄想のオンパレード。

楽しんだよね、妄想って。以前、電車の中で携帯電話で通話していた
おじさんの「私も組織の人間ですから」って言葉から、私も妄想した
もの。CIAか?KGBか?それとも女王陛下のスパイ?まさかモサド
だったりして…なんて。

これ、ルノアールだからいんだよな。『去年、スターバックスで』だったら
雰囲気が出ないもの。あぁ、ルノアールに行きたいっ!物凄く行きたいっ!
そして、あの椅子でウトウトしたいぞ〜。