オオカミ男だよ

午前中、用事があって実家へ行って来た。なんだ?この風の強さは。
自転車は前に進まないし、歩こうにも風に煽られる。

公園ではまるで竜巻のように風が唸っていた。

この風のおかげて気温も上がらず、寒い1日だったよ〜。ブルブル。

『オオカミの群れと暮らした男』(ショーン・エリス/ペニー・ジューノ
 築地書館)読了。

ローマの建国者である双子のロムルスとレムスは狼に育てられた。
インドではオオカミに育てられたアマラとカマラという少女が発見された。

ローマ建国は神話のお話だし、アマラとカマラに至っては後にある種の
精神疾患者との説も出ている。

オオカミ。おとぎ話に出て来るそれは、子豚を襲い、おばあさんの
お腹を食い破る凶悪な悪役である。

しかし、実際のオオカミは人間が彼らの領分を脅かさない限りに
おいては人間を襲うことはない。

「大神」とも表記されることもあるこの動物は、神聖な生き物と崇め
られることもある。

著者は自然に囲まれたイギリスの農場で育った。それが野生動物へ
の親愛を育んだ。

オオカミの再導入プロジェクトに参加する為に海を渡りアメリカへ。
そこで再導入プロジェクトを主導するネイティブ・アメリカンが、
再導入された以外のオオカミがいると信じているのを証明する
かのように著者は野生のオオカミの群れを探し求めてロッキー
山脈の自然のなかへ踏み入って行く。

無謀なのである。確証も何もなく、ネイティブ・アメリカンが語る
ことだけが根拠なのである。いくら野生動物好きでも、これは
絶対に真似が出来ないだろう。

最小限の食料と衣服。飢えと恐怖。そして、幸運にも彼はオオカミの
群れに出会い、群れへの加入の儀式を経て最下層の人間オオカミ
として一員となる。

いくら群れに迎えてもらう為とはいえ、噛まれるのはいやだよ〜。

でも、著者はそれに耐えちゃうのだ。そうして群れと一緒に生活
するようになると、あわやという場面でオオカミが彼の命を救って
くれたりするのだ。

飼育されているオオカミの記録はあるが、野生のオオカミ、しかも
その群れの一員としてオオカミの生態を観察した貴重な記録だ。

オオカミの群れの在り方がとても興味深いが、後にも先にもこの
著者だけだろうな。こんな常識を覆す観察の仕方をしたのは。