陰謀史観は文化だ
『陰謀の世界史』(海野弘 文春文庫)読了。
♪楽しい陰謀 愉快な陰謀 陰謀〜 陰謀〜♪
いやぁ、陰謀史観論者ではないのだけれど、陰謀論は楽しい。
「えぇっ!これが真相なのかっ!」なんて大げさに驚きながら
楽しむ分には妄想の世界で思う存分遊べる。
本書は世にはびこる陰謀論を集めて、「こんな陰謀がありますよ。
そして、あんな陰謀もありますよ」という陰謀コレクション本だ。
陰謀史観の主役と言えば、ユダヤにフリーメイソン、イルミナティに
300人委員会、ロスチャイルドにロックフェラー。忘れちゃいけない
KGBにCIA、モサドにMI5にMI6。
世界的大富豪からスパイ、それに加えて超古代史にエイリアン。
私たちが気付かないところで色んな組織が繋がって、世界を
動かしているのだっ!
JFKだって、キング牧師だって、その暗殺の陰には巨大な陰謀
があるのだっ!
建造物侵入なんてまぬけな事件から表沙汰になったウォーター・
ゲート事件よりも、イラン・コントラ事件の方が事は重大なのだ。
それなのにうやむやに終結したのは、やはり陰謀なのだっ!
あんな陰謀、こんな陰謀てんこ盛り。巻末の参考文献も膨大な
量である。これだけの資料を読破した著者は凄い。私なんて
700ページ弱の本書だけでお腹いっぱいなのに…。
そういえば昭和天皇はフリーメイソンに操られている…なんて
のをどこかで読んだな。これも陰謀史観のひとつだね。
陰謀史観もひとつの文化として見ると楽しめるのかも。信じるか
どうかは微妙だけれど。いや、信じている人がいるから荒唐無稽
なお話まで飛び出すのが陰謀史観なのかもね。