その男、権力好きにつき

家で翻訳家の常盤晋平が亡くなった。あぁ、この人の翻訳で
アメリカ文学をたくさん読ませてもらった。享年81歳。ご冥福を
祈る。合掌。

閑話休題

今年はロバート・キャパの生誕100年にあたる。昨年からキャパ
関連の書籍がいくつか出ているが、今月26日から横浜美術館
で写真展が始まる。

うぅ〜、行きたいな。でも、横浜は少々遠い。2月3日なんて沢木
耕太郎の講演もあるんだよな。しかし、この日は既に別の予定が
入っている。うぅ・・・悔しい。唸り声しか出ないよ。

『自分を売る男、猪瀬直樹 小泉純一郎に取り入り、石原慎太郎
にも……』(佐高信 七つ森書館)読了。

新聞の書籍広告でこのタイトルを見た時、5分くらい笑っていた。
なんてぴったりなんだろう。さすが佐高氏だ。

天敵・田原総一郎と並んで佐高氏が批判を続けているのが、
この猪瀬直樹である。史上最高得票数で東京都知事に就任
したのを機に出版したんだろうな。

書き下ろしか…と期待したのだが、内容は既に「噂の真相」等で
発表したものをまとめただけだった。いささか肩透かしだったけれど、
都政トップに立った男の正体を改めて確認出来た。

佐高氏は勿論、櫻井よし子氏や田中康夫氏に誌上で批判されると
編集部へ圧力をかけるってだけでも呆れる。物書きなのにねぇ。
あ、「物書き」じゃなくて「作家」って言わないと怒られちゃうかしら。

以前、ツイッターで「取材に来るなら俺の本の1冊くらい読んで来い」
みたいなことを呟いていて驚いた。副都知事としての猪瀬を取材
するのにも、作品を読んで行かなきゃご機嫌が悪いのか。

大した作品でもないのに…ブツブツ。

大宅壮一ノンフィクション賞が欲しくて、私が敬愛する本田靖春氏に
取り入って、『ミカドの肖像』でまんまと受賞。晩年の本田氏は「何で
あんな男にあげちゃったのだろう」と後悔しきりだったとか。

ジャーナリストという存在は、権力を監視し、批判する者だと思って
いるのだが、こうやって権力側へ行っちゃう人もいるんだなぁ。

先日、母と一緒にテレビのニュースを見ていたら「猪瀬さんって
腰が低いわよね」と言っていた。あ、こんな身近に騙されてる
人がいた。この本、我が母に読んで聞かせてあげようかな。

東京都知事に就任して、今のところは石原都政を継続して
いるようだ。願わくば、東京オリンピック招致が失敗します
ように。そして、誘致活動資金の使い道で議会から追及
されますように♪

尚、『ミカドの肖像』は「ミカド」というキーワードで周辺情報を
集めただけの駄作である。