ゲバラを夢見た老スナイパー

「ロシアかよ」。アルジェリアの人質事件のニュースを見ながら
思わず呟いた。人命よりもテロ制圧なんだなぁ。

東南アジア外遊中の安倍ちゃんも急遽帰国。でも、帰って来た
からって役に立つ訳でもなし。日本政府って独自の情報ルートは
持ってないでしょう。アメリカやイギリスに「どうなってます?」って
聞くくらいで。

それなら、麻生太郎にライフル持たせて現地へ送り込んだ方が
少しは役に立つんじゃないかと妄想をふくらませてみた。

警察庁長官を撃った男』(鹿島圭介 新潮文庫)読了。

「実行犯は不詳、支援者も不詳。でも、これはオム真理教の犯行
です」。国松警察庁長官狙撃事件の時効数日前、特捜本部は
東京地検に書類送致を行った。

これについては先日、オウム真理教から名を変えたアレフ
名誉棄損訴訟を起こし勝訴したとのニュースが流れた。

首都東京を恐怖と混乱に陥れた地下鉄サリン事件の後の狙撃
事件だったので、あの当時は教団の犯行だと言われれば疑う
人はすくなかったろう。現役警察官にも信者がいたことだし。

狙撃事件の捜査を担ったのは警視庁公安部。証拠を積み重ねて
捜査に当たる刑事部とは違い、彼らは「まず犯人ありき」で捜査を
進める。

しかし、使用されたと思しき銃や弾丸とオウムとの繋がりがまったく
出て来ない。それでも公安部はオウム犯行説に固執する。

そんななか「私が撃ちました」と名乗り出る男が現れた。既に違う事件
を起こし獄中にいるそお男は、やはり解決を見ていない八王子での
スーパーで女性3人が射殺された事件の際にも名前が取り沙汰
された老スナイパーだった。

本書は公安部がこだわったオウム捜査と、刑事部が独自に捜査を
積み重ねた老スナイパー関連の証拠を対比させ、どちらに真実味が
あるかを検証している。

革命の英雄、チェ・ゲバラに憧れて地下活動に邁進して来たと述べる
老スナイパーの足跡は非常に興味深い。そして、実態が明かされない
彼の共犯者も。

内容は面白いんだが、本書には決定的な瑕疵がある。文章が読み
難いっ!