41時間の攻防

先日、民放放送で白虎隊のドラマが放映されていた。NHKの大河
ドラマにあやかったのだろうか。

このドラマを見ていたらしい福島みずほセンセイがツイッター
呟いた。「百虎隊…」と。

「びゃっこたい」で普通に変換出来るのだが、どうしたんでしょうか。
虎が百匹で何かするのか。み、みずほ、しっかりしてくれっ!

日本の歴史にも文化にも伝統にも無知な政治家が増えているのか?
大阪市長の人とか。ブツブツ…。

『アルカトラズの6人 脱獄に賭けた男たち』(クラーク・ハワード
 早川書房)読了。

クリント・イーストウッド主演の映画「アルカトラズからの脱出」は、
サンフランシスコ湾に浮かぶ孤島のアルカトラズ刑務所で実際に
起こった脱獄事件を描いた作品だった。

この脱獄事件が発生したのは1962年。それ以前にもアルカトラズ
では何人もの囚人が脱獄を試みていた。

本書が取り上げているは1946年に発生した囚人6人による脱獄
事件だ。

これまでの脱獄がことごとく失敗したのは何故か。それは武器を
手に入れる手段がなかったからだ。そこでひとりの囚人は考えた。
監房を巡回する看守を援護する場所に陣取る武装看守から銃を
奪い、看守たちを人質に取って脱出しよう。

彼は観察する。どうにかして武装看守が陣取る場所へ侵入出来
ないものかと。彼の眼は刑務所側も気付いていなかった構造上の
欠陥を捉える。これなら計画は完璧なはずだ。

決行当日、彼は囚人仲間の協力を得てまんまとライフルと拳銃を
入手することに成功した。しかし、順調だったのはそこまで。

次々と予期せぬ事態に見舞われ、4人の看守を人質にするはずが
その人数は9人に膨れ上がり、収容棟から外へ出る為の鍵も見つ
からない。

計画がとん挫した途端、一緒に脱獄するはずだった6人の囚人たち
の間では仲間割れが始まる。

しまいには軍隊までも動員され、迫撃砲は使わうわ、手投げ弾を
投げ込むわでアルカトラズは戦場の様相を呈する。

たった6人の囚人を相手に、ここまでするかと思うほど凄まじい
攻撃だ。「看守といえども所内に武器を持ち込むべからず」という
原則を頑なに守った所長の判断がなければ、もっと早く解決
したんじゃないのかぁ?

事件発生からの41時間が時系列で進むので読み易く、それぞれの囚
人の背景も丁寧に描かれている。

尚、この脱獄事件の際にアメリカ陸軍第6軍司令官として協力した
のが第二次世界大戦で活躍したビネガー・ジョーこと、ジョゼフ・
スティルウェル将軍。まさか戦記物以外で彼の名前を見るとは
思わなかった。

早川書房のノンフィクション・シリーズには秀逸な作品が多いのだが、
ほとんど絶版というのが哀しい。