最後の「さよなら」の為に

商品券を頂いた。なので、ダウン・コートを買いに行く。今着ている
冬用のコートも暖かくていいのだが、少々重いのだ。

色々と試着したのだがどうもしっくり来ない。レディース・サイズだと
袖が中途半端な長さなのだ。そう、私は腕が長いらしいのだ。

普段からTシャツなどはメンズ・サイズを着用している。これだと
多少大きくはあるのだが袖はちょうどいいのだ。

今日は諦めて、次の休みにメンズ・サイズで探そうっと。

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(佐々涼子 集英社)読了。

空港職員が深々と頭を下げて迎える。航空機の貨物室から現れる
のは木枠でがっちりと梱包された荷物だ。中には海外で亡くなった
方の遺体が収められている。

ニュースで何度か見た光景だ。だが、海外から日本に返って来る
遺体がどのような状態なのかは知らなかった。

気圧の影響で体液が漏れている。亡くなった現地での検死解剖の
傷跡が生々しく残る。ドライ・アイスを詰めただけでエバーミングが
なされていない。

良い状態とは言い難い遺体にエバーミングを施し、パスポートの
写真を元に生前と変わらぬ姿へと修正を施す。

そして、家族との最後の別れの為に無事に送り届けるのが国際
霊柩送還士の仕事だ。

火葬されるまでの僅かな時間の為に、彼ら・彼女らは精魂込めて
遺体に処置を施す。限られた時間のなかでの過酷な仕事に向き
合う姿には感動さえ覚える。

海外で亡くなった日本人ばかりではない。日本で亡くなった外国人
を祖国へ送り届けるのも彼らの仕事だ。故人が信仰していた宗教
により、遺体の処置も違うのだ。

映画「おくりびと」が話題になった頃、葬儀や遺品整理に関わる
人たちの本が注目された。本書も国際霊柩送還士を題材に
はしているが、突き詰めていくと「死とは何か」になるのだろう。

興味深い題材だったが、いかんせん、後半で著が前面に出て
来てしまっていると、感傷的になり過ぎている部分が多いのが
残念だった。