ここは「日本絶望列島」か

夕飯の支度中にテレビからあまり聞きたくない緊急地震速報の、
あの心臓に悪い音が…。

念の為にストーブを消して、テレビはNHKに切り替える。そうしたら、
来ました。地震です。でも、大したことないな…と油断していたら
揺れが徐々に大きくなった。

そして、津波警報だ。もう勘弁してよ、宮城とか茨城とかに津波って。

気象庁の発表によると、今日の地震は昨年の大震災の余震の
可能性もあるとのこと。いつまで続くことやら…。

『強いられる死 自殺者三万人超の実相』(斎藤貴男 河出文庫
読了。

日本で、年間の自殺者数が3万人を超えて久しい。どれくらいの人数か
と言うと、毎年の東京マラソンのランナーと同程度だ。道路をびっしりと
埋めたランナーと同じ数だけの人々が自死を選んでいる。

弱いから死を選ぶのではない。限界までふんばり、最後の最後で
死を選ぶしかないよう追い込まれるのだ。

先般、いじめが原因となった中学生の自殺が大きなニュースと
なったが、これは子供の世界だけの問題ではない。大人の世界、
職場でも「なんでここまで」と感じる壮絶ないじめがある。

この職場でのいじめ、過重労働、多重債務等々。死しか選べなく
なった人々の実例が多く収録されている。

憲法25条 すべての国民は、健康で文化的な生活を営む権利を
有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び
公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

日本国憲法に明記されていることだが、本当に「すべての国民」は
その権利を守られているのだろうか。否、守られていないからこそ、
年間の自殺者数が減少しないのではないか。

著者のように、小泉構造改革にすべての原因を求める気はないけれど、
あの時に行われた様々な規制緩和が原因のひとつにはなっている
のだろう。

「世界有数の経済大国である日本、何でもそろい豊かそうにみえますが、
決して豊かとは思えません。物ばかりが増え、時間という大切なものを
なくしているような気がします(後略)」

外食チェーン店の「名ばかり管理職」として過労死した人の奥様の
手記の一部である。

負け組・勝ち組。日本はいつからこんな言葉で人間を区分するように
なってしまったのだろうか。そもそも、元の言葉も意味も分からずに
使われている言葉なのだが…。

読後、鬱々とした気分になった。社会保障の名目で始められる消費増税
生活保護行政の見直し、非正規労働者の増加。この日本に、未来は
あるのか?