ひとりぼっちじゃなかった

ロンサム・ジョージ。ガラパゴス諸島のピンダ島に棲む最後の
ピンダゾウガメと言われていた。今年、死んでしまった時には
全世界にニュースが配信された。

そのロンサム・ジョージと同じ遺伝子を持つゾウガメが他の島で
発見された。

わぉっ!ひとりぼっちじゃなかったんだね、ジョージは。そして、
絶滅もしてなかったんだね。

血液検査で同じ遺伝子を持つと分かったゾウガメのほとんどが
20歳くらいの子供。もしかしたら、その親ガメも生きている可能性も
あるんだと。

今後の発見が楽しみ〜♪

『社長のモラル 日本企業の罪と罰』(佐高信 講談社文庫)読了。

リクルート事件の真っ最中、リクルート社のPR誌の仕事をしていた。
店舗等へ取材依頼をするのだが、軒並み取材拒否。勿論、事件の
影響である。

住友銀行の支店長射殺事件の時は、住友銀行の仕事をしていた。
「住友に打ち合わせに行って来ます」と事務所で言うと、「撃たれる
なよ〜」と先輩に言われた。出入り業者まで標的にされては堪らん。

政界的な技術を持ちながら粉飾決済事件で信用が地に落ちた
オリンパスの事件も記憶に新しい。

本書は戦後に起きた企業事件を簡潔にまとめて、経営者や経営陣
のモラルの低下を指摘している。

内紛劇やら、会社の私物化やら。もうやりたい放題。そして、事件として
表面化しても反省の色もなし。言い逃れと責任逃れでどうにかしようと
する。

日本の有名企業のすべてが本書に取り上げられている企業のような
ところばかりではないだろうが、暗澹たる気持ちになるね。

それでも、役員会で自分に反対する意見が出なくなった時に、危険な
兆候だと感じて辞任を決意した住友金属鉱山の社長のような人もいる。

そして、凄かったのは大沢商会の人事部長だ。同族経営の失敗など
色んな要素が重なって倒産。会社更生法の適用を受けたが、入社が
決まっていた新卒者がいた。

人事部長は奔走する。採用予定だった50人のうち、43人の転職先を
確保したばかりか、子会社工場で働いていた障害者たちの受け入れ
先をも確保する。

そして、全てが終わって自ら会社を去っていく。

近年、不況の影響で内定取り消しなんて企業があるが、この大沢商会
の人事部長のようなことはしてないだろうな。格好いいじゃないか。

取り上げれている事件を扱った企業小説や経済小説の引用が
多数あるので、清水一行高杉良の小説が読みたくなる衝動に
駆られる。