みんな、還って来て欲しかった

まいった、まいった。旦那が一時帰国していてひとりの時に風邪をひくとは。
しかも今回は胃腸風邪。汚い話で恐縮だが、嘔吐と下痢が1日半続いた。

薬を服用してもすぐに吐いてしまうので、スポーツドリンクで作った氷を
頬張りながらとことん熱を出すしかなかった。いや〜、まいったね。

昨日からおかゆ→うどんと段階を踏んで、今日はやっと白いご飯が
食べられた。有難いな〜、白いご飯。

インフルエンザではなかったのが不幸中の幸いだな。久し振りだったよ、
今回のような酷い風邪は。

『レクイエム ヴェトナム・ラオスカンボジアの戦場に散った報道カメラマン
遺作集』(ホースト・ファース/ティム・ペイジ:編 集英社)読了。

始まりは1950年代、フランスによるインドシナ戦争だった。肥沃な大地だった
インドシナはそれ以来、戦火にさらされ続ける。

戦乱の地となったインドシナは、一方でメディアが自由な取材を許された
最後の戦場でもあった。

135人。1975年のプノンペンサイゴン陥落までに死亡したり行方不明
になったカメラマンの人数である。

インドシナから生還したふたりのカメラマンが、戦場に散った仲間たちへの
鎮魂の思いを込めて編集したのが本書である。

ラリー・ロバーズ撮影の物悲しさを漂わせるカバー写真をめくると、遥かなる
インドシナの大地が現れる。そこに戦争の影は見えない。

しかし、ページが進むごとにインドシナでの戦いが泥沼になって行くように
激化する戦争風景が広がって行く。

西側諸国のカメラマンだけではなく、北ベトナム側のカメラマンの写真も
収録されており、有名・無名を問わず彼ら・彼女らが記録し続けた、あまり
にもリアルな戦争の情景が凝縮されている。

ピーター・アーネット、ニール・シーハン、デイヴィッド・ハルバースタム等、
ヴェトナム生き残りのジャーナリストの寄稿も読みごたえありだ。

巻末には135人のプロフィール。そこにはいつ・どこで死亡したか、または
行方不明になったかの一文があり胸が詰まる。

彼ら・彼女らが文字通り命懸けでこの世に残した写真は、戦争があらゆる
悲劇を引き起こすのだと警鐘を鳴らしているのではないか。

カバー裏表紙に掲載咲いているのは、銃弾が貫通した一之瀬泰造の遺品の
カメラ。

読み終わってしばらく、このカバー裏表紙の写真を眺めて茫然とした。
戦争は知らない。でも、戦争の悲惨さは理解できたような気がした。
そして、自身の身を危険にさらして多くの写真を残してくれたカメラマン
たちに哀悼の意を。